128 サ  シ  バ

 全長約490mm。ハシボソガラス位の大きさのタカ。♂では頭は灰褐色。後頭、後首は暗褐色で羽縁は赤錆色。灰白色の眉斑は明瞭。顔は灰褐色で虹彩は黄色。背、上尾筒等上面は暗褐色、肩は赤錆色。喉はクリーム白色で、中央に暗褐色の線があり、胸は茶褐色で、腹には、暗褐色の横縞がある。尾は淡褐色で黒い横縞がある。♀は眉斑の幅がせまい。飛ぶと、翼と尾に暗色の横帯が出る。タカ類のなかでは良く鳴くので、ピックウィー又はキンミーと聞こえる声を聞けば、他の種と間違えることはない。アムール地方南部、ウスリー、中国東北部、日本等で繁殖し、冬期は、東南アジア、インドネシア、ニューギニア、フィリピン等に渡る。春の北上は、小群のためか目立たないが、秋には大群を作って渡る事が知られている。我国では、本州北部以南各地の低山帯に夏鳥として渡来、繁殖し、秋には群れを作って南下する。沖縄地方では一部が越冬する。

 飛翔は、ゆるやかな羽ばたきや、滑翔を交え直線的に飛ぶ。時として、円を描いて大空を帆翔することもある。餌としては、ヘビを好んで食べるほか、ノネズミ、小鳥、カエル、バッタなど昆虫も良く食べる。育雛期にはヘビを良く捕え巣に運んで雛に与える。秋の渡りの時期には昆虫類が主食になるという。一般に鳥獣などを捕えるものは群れをなすと、獲物への競合が起こり不利だという。昆虫を主食とするものは、他の仲間の鳥が驚かして飛び上がった昆虫を捕えられるので、群れた方が有利といわれている。このため、秋の渡りの時には、大群をなし、昆虫を食べるのだと言われている。

 繁殖地は、海抜800m以下の低山帯の森林で、奥まった谷のマツなどの大木に巣を造る。巣は、地上5〜9m位の所に小枝を積重ね、皿形で、外径45cm、内径12cm。産座にはマツなどの青葉を敷く。卵は帯青白色で無斑。1腹卵数は2〜4個、孵化日数は不明。巣立日数は36日。

 今回の調査では、岩手県以南のほぼ全県下で、繁殖が確認された。既知の繁殖地の北限が山形県であったので、少し北進した。良く鳴くことで、目立つためか繁殖が確認された例はトビについで多い。また種子島で繁殖の可能性が報告されたが、確認されれば南限である。サシバの好んで繁殖する、丘陵地の谷の奥は、大都市近郊ではほとんど、宅地などのために開発されてしまった。また、餌となる動物も追いつめられている。サシバは、キンミーダカなどと呼ばれ、農村部では、ごく普通の夏鳥だった。サシバの繁殖可能性のある土地は、だんだん少なくなってきている。我々の身のまわりから顔馴じみが消えて行かないように、総合的な方策を考えなければならないだろう。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

126

330

260

716

構 成 比(%)

17.6

46.1

36.3

100.0

 

繁殖分布地図索引へ