113 ミ コ ア イ サ

 全長約420mmの小型のカモ。♂の成鳥では、白黒のパターンが特徴である。目先が黒く、パンダの顔付に似る。後頭と背中、胸、肩に黒い線がある。白い冠毛があり、頭は長目で大きく見える。尻と尾は灰黒色。翼を拡げると、初列風切は黒で、肩羽の白と明瞭な対照をなす。嘴と脚は灰色、虹彩は赤。♀の冬羽は、頭部、後首が栗茶色、喉と顔の下半分の白と明瞭な対照が目立つ。背と尾は、灰色、胸は汚灰色で灰白色の下面に移り変わる。嘴と脚は♂に似るが、虹彩は茶色がかっている。

 北極圏の南縁から、樹林の良く発達した針葉樹林、混交林地帯に繁殖し、ヨーロッパ、黒海、カスピ海、北海道の沿岸部で越冬する。潜水して採餌する事が多く、その深さは、1〜4m位が多い。採餌は小群で行い、獲物を追いつめるために、数羽が同時に潜ることもある。こういった集団採餌は他のアイサ類でも報告されている。餌は主に魚で、サケ、マス、モロコ、コイ、ニシソなどの稚魚の他、甲殻類、エビ、カエル、昆虫などの動物質を食べる。大きさは普通3〜6cmで大きいもので10〜11cm。29cmのウナギを食べていた例もある。植物質も種子、葉、根など、少し食べる。

 繁殖は、5月下旬〜6月と言われており、良く茂った樹林の自然樹洞又はクマゲラなどの掘った樹洞で営巣する。ヨーロッパでは、巣箱を利用した例もある。巣はあり合わせの巣材を使って作るが、巣材らしいものを使わないこともある。また、綿毛を大量に使うこともある。産座は♀が作る。卵は淡黄色で、52×38mm、39g(飼鳥の例)。一腹卵数は7〜9個。孵化日数は26〜28日。抱卵は♀が行い、一般に卵がそろった時に開始される。孵化は同時性。♀が巣を離れる時は、卵を綿毛で覆う。卵殻は巣に残される。雛は早成性。

 北海道北部の豊富町で、小数が繁殖する事が以前から知られていた。今回の調査に於いては、サロベツ原野で繁殖の可能性があると記録されたにとどまった。同原野では、原始砂丘林が発達し、林間に点在する大小の沼に本種の家族群をみることは稀ではない(環境庁 1979)。夏期にも、他にキンクロハジロ、ヨシガモ等を見ることができ、北海道に於いても、この様な、人間の入らない地域が少なくなってきているので、保護する必要がある。本種の日本に近い繁殖地としては、カラフト北部、カムチャッカ半島北部、東北シベリアなので、世界に於ける繁殖分布からみてもサロベツの本種繁殖地は、特徴があるといえよう。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

0

1

0

1

構 成 比(%)

0.0

100.0

0.0

100.0

 

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