098 ホ シ ハ ジ ロ

 全長450mm、中型の潜水ガモ。♂の冬羽では、頭から首にかけてはこげ茶色で、胸は黒、背中脇腹は灰色で、大変に細かい黒い縞がある。虹彩は赤。嘴は黒で、先端部に灰青色の帯がある。♀は頭から首、背、胸は赤褐色、頭頂部が黒っぽい。嘴は♂と同様の色であるが、やや淡い。嘴基部、目先に汚白色の点があり、目を通り、後首にかけて、濃い色となり目立たなくなる。♀のこの顔のもように、特徴がある。飛翔は、助走を必要とするが、早い翼動の全力飛行は、羽のきしみ音を発し、力強く早い。大きな湖、池、河口、貯水池など、植被の発達しない所にも冬には集まり、海よりも、内陸の湖沼によく入る。繁殖期には、余り大きくない湖で、アシなどのよく茂った場所を好む。ユーラシア大陸の北部に、西に片寄って分布している。本種の繁殖分布は、19世紀初頭には、スウェーデンの島に集団繁殖していたものが、フィンランド方面に拡がり、19世紀の終りには、デンマーク、オランダ、ババリア南部にまで拡がった。そして20世紀の初めに、英国、中部ヨーロッパ、ソ連、フランスに拡がり、1945年以後、東西ドイツ、ベルギーに及ぶなど独特に繁殖地を拡げている。

 採餌は、潜水して行うことが多く、この場合潜る前にジャンプし、深く潜る場合は、大きくジャンプするという。餌は、場所、環境と季節によって大きく変化する。主として植物質をとり、種子、地下茎、芽、葉などを食べる。淡水産のシジャクモを良く食べる。動物質では、甲殻類、軟体動物、環形動物、昆虫とその幼虫、オタマジャクシ、カエル、小魚を食べる。営巣場所は水辺に近い地上で、アシ、イグサなどの茂みに、手近のアシの葉や茎を集めて♀が作り、綿毛を敷く。卵は鈍楕円形で灰緑色。62×44mm、68g。一腹卵数は8〜10個。孵化日数は25日。抱卵は♀が行い、巣を離れる時は綿毛でこれを覆う。雛は早成性で、独立するまでの日数は50〜55日。

 本種の繁殖は、今まで知られていなかったが、北海道釧路市の春採湖で撮影された家族群がテレビで放映され、我国に於ける繁殖が確認された。今回の調査でも、1例ながら繁殖が報告され、今後の調査でさらに繁殖例の増える可能性は大きいと思われる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

1

0

3

4

構 成 比(%)

25.0

0.0

75.0

100.0

 

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