096 ハシビロガモ

 全長約500mmの中型のカモ。♂♀ともに偏平で大きな嘴が目立つ。♂の冬羽では、頭部は緑黒色で金属光沢があり、虹彩は金色。胸は白く、脇腹は明るい茶色。背中は黒褐色、下尾筒は黒で腰は白。嘴は黒又は鉛黒色。脚は橙。♀は、マガモの♀に似るが、茶褐色の嘴が目立つ。虹彩は暗褐色。ユーラシア大陸から北米大陸の北部にかけて広く繁殖し、日本、東南アジア、インド、トルコ、アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカで越冬する。淡水域の浅瀬に見られることが多く、渡りの時以外は、あまり海に出ない。大きな嘴で、餌を濾し取るため、塩水で長い時間採餌することは避けるようであるが、汽水域や内湾では、よく餌をとる。採餌は、頭を水中に入れ、偏平な嘴をペチャペチャして、甲殻類のプランクトソ、軟体動物、双翅目や鞘翅目の昆虫とその幼虫、種子や植物のクズを食べる。このように雑食性であり、他に淡水産の貝類や小魚を食べるなど、季節によっては、動物質が1/3になることもあるが、多くは、種子など植物質を食べている。

 繁殖期は、4〜6月で、アシやイグサなどの茂った地上部に、単独で巣を作る。巣は、浅く窪んでいて、草、葉、綿毛で作られる。平均20〜30伽の直径で、7〜10cmの深さである。巣作りは♀が行い、巣場所近くの巣材を集め、体を動かして形をつくる。卵は淡黄褐色又は青白いオリーブ色で、52×37mm、40g。一腹卵数は、9〜11個。孵化日数は、22〜23日。抱卵は♀が行い、巣を離れる時は、綿毛で覆う。雛は早成性。独立するまでに40〜45日かかる。

 本種の繁殖については、北海道下湧別で雛が観察された事があり、少数が北海道で繁殖すると言われている。今回の調査では、繁殖期における生息が4サブメッシュで記録されたにすぎなかった。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

0

0

4

4

構 成 比(%)

0.0

0.0

100.0

100.0

 

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