091 オカヨシガモ

 全長約500mm位の中型のカモ。♂の冬羽は全体に灰褐色で嘴は黒。真黒の尻が目立つ。また♀は、マガモの♀に似ているが、脚は黄色である。また嘴は中央部が黒く縁は赤い。全体的に♂♀ともに、地味な色合のカモであるが、良く見ると、細かな紋様が、とても美しい。また、飛んだ時には次列風切が白いので、良く目立つ。ユーラシア大陸北部、北米大陸北部で繁殖するなど、その分布は広い。

 浅瀬、富栄養化した開水面で、植被の発達している所を好む。冬期は、大きな湖、湿地、三角州の中で、浅瀬があり、かくれ場所のある条件の良い所に集まる傾向がある。海に出ることもあるが、マガモ程、多くはない。我国に於いては、比較的稀なカモであるが、内陸部の湖沼よりも、沿岸部の湖沼で見られることが多い。

 繁殖は開けた場所でも低木の茂みでも行うが、水辺から20m以内の事が多い。普通は薮の中や、アシなど丈の高い草の中である。コロニーは作らないが、5m以内に巣があることもある。巣は、草と葉で形作り、縁がある。そして綿毛を敷く。巣造りは♀が行ない、巣のある場所のまわりから巣材を集め、体をゆすって、浅いへこみを作る。卵は、鈍い楕円形で淡黄褐色又は青白いピンクで無斑。55×39mm、44g。一腹卵数は8〜12個、孵化日数は24〜26日。雛は早成性。45〜50日で独立する。繁殖期は5〜7月という。

 採食法は、頭を水中に入れ、泳ぎながら食べることが多く、水面をペチャペチャしたり、逆立して餌をとることは稀である。基本的には、昼間、小群で採餌することが多い。植物質が多いが、それには、根、茎、葉、芽、種子など、あらゆる部分を食べる。動物質はめったに食べないが、昆虫の幼虫や両生類、魚などを食べていた例もある。胃の内容物調査の結果では、ヨーロッパ、北米とも、種子を中心とした植物質が圧倒的に多い。

 オカヨシガモは、以前から、北海道、阿寒湖にて小数が繁殖すると言われていた。今回の調査で、十勝川流域の帯広から確実な記録が、また、網走から繁殖の可能性のある生息が報告された。ヨーロッパの記録によれば、繁殖環境の選択に神経質でなさそうなので、北海道の他の地域においても、繁殖の可能性があると思われる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

1

1

2

4

構 成 比(%)

25.0

25.0

50.0

100.0

 

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