088 コ  ガ  モ

 小型のカモで体長375mm。♂の冬羽では、頭部は栗色で、眼の周囲から側頭部、後首にかけて、金属光沢のある暗緑色の、まがたま形の幅広い線で、白い縁取がある。背中と脇は、灰色の黒の縞模様であり、背の部分で荒く、脇ではとても細かい。胸は灰色、黄褐色で、黒色の丸斑がある。脇に白い水平線があり、また尻の黒で縁どられた、クリーム色の三角形が目立つ。♀の冬羽では、背面褐色で羽縁は淡色。嘴は、鉛色で、基部は灰色。♂のエクリプスでは、♀に似るが、均一な暗色で、目のまわりの黒線が目立たない。

 生息地は広く、小さな池から、湾、三日月湖から大きな湖、湿地まで。浅瀬を好み、水面下、数センチに種子や動物質の餌の多い干潟状の層があることが望ましい。日中は、池、沼、貯水池、小川などで休息し、夜間、群で水田などで採食することが多い。夜の70%は、採餌に使っているとの報告もある。

 雑食性であるが、冬期は、ほとんどが、種子食である。採餌法は、時間、季節、環境等により、様様である。基本的には、ゆっくり歩いて、水面下数セソチの泥を嘴を使って濾すことが多い。餌としては、種子が多いが、特に小さい種子を多く食べる。ヒルムシロ、イネなどの水生植物から、キンポウゲ、カバノキ、ハンノキなども食べる。秋から冬にかけては、この様な種子が多いが、夏には、動物質が比較的多くなる。カタツムリ、昆虫の幼虫などが多く、この場合は、種子に比べて、より大きいものも食べるようである。

 繁殖地は、池、流れ、沼等の畔、小島あるいは、林の中の深い茂みの中の地上部に杯状の巣を作る。稀に地上50cm以内の薮の木に作ることもある。普通は、コロニーを形成しないが、1m以内に接近していることもある。巣は、枯葉、枯草などで♀が作り、綿毛を多量に敷く。卵は、淡灰黄色で無斑、45×33mm、29g。一腹卵数は、8〜10個。孵化日数は、21〜23日。抱卵は♀のみが行い、巣を離れる時は、綿毛で覆う。雛は早成性。独立するまでは25〜30日。

 今回の調査では、岩手県中部より確実な繁殖記録が報告され、また、北海道東部で、繁殖の可能性が報告されている。日本に於ける繁殖地としては、福島県会津、長野県上高地、および北海道が報告されていた。また、北陸、福島、近畿、山陰の海岸線に夏期の生息が記録されたが、これらのものは、何らかの理由により、越夏した個体と思われる。北関東の山間部に於ける記録は、繁殖の可能性もあるので、今後、継続して調査する必要がある。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

1

1

19

21

構 成 比(%)

4.8

4.8

90.5

100.0

 

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