085 オ シ ド リ

 ♂の冬羽が、美麗な事によって、古くから日本人に親しまれているカモ。全長475mm。♂は、色彩豊かで、特に、橙色のイチョウ羽(三列風切内側)がよく目立つ。♀は、上面暗褐色で、目のまわりの白が、後頬に延びている。胸は暗褐色で白斑がある。嘴は、黒で基部が白い。♂の非繁殖期の羽色は、イチョウ羽を欠き、♀に似るが、嘴は赤い。生息地は、河川、山の湖、渓流、池等で、森林の発達した所に多い。海岸には、冬期、稀に現れるにすぎない。秋から冬にかけて、コガモと混り、水田で採食することもあるが、他種との混群は、好まないようである。食物は、雑食性で、主に植物質。特に、シイノミ、ドングリなどの堅果を好む。時として動物、特に、カタツムリとか昆虫を食べる。昼夜とも、また、地上でも、水上でも採餌する。餌となる食物は、季節によって変るが、詳細は不明。秋から冬は、ドングリ、夏は、主に昆虫を食べるらしい。繁殖期は4〜7月。水辺又は森林の地上、10m以上の樹洞に営巣することが多い。稀には、人家の煙突の横孔内や、深いヤブの草におおわれた地上部や、落ちた枝に営巣することもある。巣箱も、しばしば使用する。樹洞内には、枯草や綿毛を敷いて、産座とする。樹洞の選択は、♀によって行なわれる。一夫一妻性。卵は、楕円形で帯黄白色。52.5×37mm、44g。一腹卵数は、9〜12個。稀に14個。一日に一卵を産む。孵化には、28〜30日を要し、抱卵は、初卵より♀によって行なわれ、卵殻は巣に残される。雛は、早成性で、♀に保護され、2km位までの距離を、採餌場まで歩く。巣立は、40〜45日。

 今回の調査では、北海道、本州中部以北で確実な繁殖が記録されている。調査結果からはもれているが、東京都心の皇居内で、1979年に自然樹洞の繁殖記録が知られ、又、神奈川県箱根でも、繁殖しているらしい。九州、沖縄でもすでに、繁殖の記録があり、今回記録のなかった本州南西部、九州、四国、沖縄での、今後の記録が注目される。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

24

20

60

104

構 成 比(%)

23.1

19.2

57.7

100.0

 

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