061 ア オ サ ギ

 全長930mm。翼開長1,605mm。日本に生息するサギ類中最大。上面は幾分黒っぽい灰色、翼の風切部分は青っぽい黒色で、雨覆部の灰色との対照ははっきり見える。下面は白色。頭、首は白く、後頭部が黒っぽく、繁殖期には長く延びて飾り羽となる。嘴、脚ともに黄褐色である。本州中部以南には留鳥として周年生息し、水田、湖、池、沼沢、海岸の浅瀬、干潟、アシ原などで採餌し、森林を塒や繁殖地とする。概して海岸近くの平地や湖沼近くに多く、標高の高い山地には稀である。見とおしのよい水田等で、単独で餌をあさることが多く、ゆっくりした羽ばたきで悠々と飛翔するが、飛翔時には長い首をS字形に縮め、脚は尾端から長く出る。繁殖期以外には地上に降りることが多いが、塒には樹上を選ぶ。長い足で水中を歩渉し、鋭い視力で水中の魚類を探し、嘴ですばやく捕える。魚類の他、両生類(カエル、イモリ)、昆虫も好み、哺乳類(トガリネズミ、ヒメネズミ)を捕食することもある。針葉樹林や落葉広葉樹林に集団で営巣し、他のサギ類と混群で営巣することもある。樹の枝や草の茎で皿型の巣を作り、毎年同じ巣を修理して使用するので、年とともに巣が大きくなる。巣の上や近くで頭の飾り羽を逆だててディスプレイを行う。産卵期は4月上旬〜5月中旬で1巣の卵数は3〜5個である。

 本種は北海道では夏鳥、本州、四国では留鳥、あるいは漂鳥、九州以南では冬鳥である。北海道、本州、佐渡、四国、九州、対馬、伊豆諸島(大島、八丈島)、小笠原群島(父島、母島)、硫黄列島(北硫黄島、硫黄島)、北部琉球(奄美大島)、沖縄本島、南部琉球(宮古、石垣、西表、与那国島)で記録がある。今回の調査では、北海道、鳥取県以東の本州、四国で繁殖が確認された。本州では山形県から鳥取県までの日本海側の各県にコロニ−が分散している。太平洋側では近畿、四国地方が中心で、他のサギ類の繁殖地が集中している関東平野での繁殖は確認されなかった。アオサギは他のサギ類(ゴイサギ、アマサギ、シラサギ類)と混群を成すよりも一種のみでコロニーを作ることが多く、また、海岸近くの小島などで繁殖している例もあるようである。繁殖地も北に片より、日本海側に集中しているので他種の繁殖地とオーバーラップしない部分も多い。北海道では生息の記録は多いが、繁殖が確認されたのは道東部だけであった。対馬では今回はCランクが記録されたが、同島ではすでに繁殖が記録されている。その他過去に繁殖記録があるところは、福井県鯖江市妙法寺(1957)、滋賀県琵琶湖竹生島(1937)、青森県南津軽郡猿賀神社(1959)、大阪府三島郡継体天皇御陵(1951)等がある(清棲 1952)。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

18

12

56

86

構 成 比(%)

20.9

14.0

65.1

100.0

 

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