060 ク ロ サ ギ

 全長625mm。翼開長1,010mm。コサギとほぼ同大であるが、全身黒色で幾分すすけた感じのする色である。喉はやや白い。頭部には冠羽があり、これも黒色。嘴は黄褐色、脚は暗緑色である。常に海岸に生息し、特に、岩礁の多い海岸や入江、湾などに生息する。主として本州中部以南の海岸によく見られる。単独、または♂♀で生活することが多く、海岸の岩礁をあちらこちら歩きまわっては餌をあさる。餌は主に魚類、甲殻類(カニ、イソガニ)、軟体動物の貝類などである。飛翔はゆっくりとした羽ばたきで直飛し、低空を岩礁から岩礁へと飛び移っては餌をあさっている姿をよく見かける。休息時には片脚で立って頸をS字型に曲げていることが多い。小島嶼、海岸等にある高さ0.3〜1m位の樹上や、岩壁の棚や岩のすき間に単独で営巣し、コロニーをつくることはない。巣は樹枝や枯草を主材とした皿型のものである。

 本州以南の各地に留鳥として生息、繁殖し、分布は本州、佐渡、四国、九州、対馬、五島列島、種子島、伊豆諸島、琉球全域である。今回の調査では本州以南の海岸、及び島嶼で繁殖が確認された。近年までクロサギの繁殖は本州中部以南と言われ、新潟県佐渡ケ島が繁殖の北限とされていたが、今回の調査では男鹿市北浦で繁殖が確認されている。尚、その他の東北各県(青森、山形、宮城、福島)でもこれまでに生息記録があるところから、今後東北地方の繁殖分布がさらに拡がると思われる。なお、今回は繁殖が確認されなかったがBランクが記された千葉県房総半島先端部は、かつて太平洋側の繁殖の北限として記録されたことがあり(清棲 1952)、同じくBランクの種子島ではすでに繁殖例があるので、これらについても今後の一層の調査が望まれる。その他繁殖の記録があるところは、島根県日御碕沖経島(1954)、富山県富山湾虻ケ島(1957)、神奈川県真鶴岬(1961)等である(清棲 1952)。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

13

7

26

46

構 成 比(%)

28.3

15.2

56.5

100.0

 

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