053 サ サ ゴ イ

 全長520mm。翼開長760mm。頭は黒っぽく背面は暗緑青色に見える小型のサギ。後頭から下面全体は淡灰色で、頭には2本の黒っぽい飾り羽がある。嘴は黒っぽく脚は黄色っぽい。夏鳥として渡来し、水田、湖沼畔、河原、アシ原等に生活する。繁殖地以外では単独、または♂♀で生活し、水田や川原等の見とおしのよいところに降りて餌を探すことが多く、アシ原等にひそむことは稀である。夕暮や夜間にもさかんに活動する。水辺を静かに歩いて水中の魚類を狙っている姿をよく見かける。樹に止まっている時や地上では首を太短くS字型に縮め、体は丸いのでずんぐりした感じに見える。翼をゆっくり羽ばたいて飛翔するが、飛翔中も首は縮めている。餌は小形の魚や両生類(カエル、イモリ)、甲殻類(アメリカザリガニ)等。雑木林、マツ、スギ等の林に単独、あるいは小集団(5〜8巣)で営巣する。巣は地上から5〜10m近くの枝上にあり、小枝を主材とした皿型のものである。産卵期は5月上旬から6月中旬で、一巣の卵数は3〜6個である。

 分布は北海道(函館)、本州、佐渡、四国、九州、対馬、種子島、屋久島、伊豆諸島(三宅島、八丈島)、小笠原群島(母島)、硫黄列島(北硫黄島)、奄美大島、沖縄本島、南部琉球(宮古島、石垣島、西表島、与那国島)、大東群島にわたるが、繁殖は本州、四国、九州で、九州には春の3月中旬、本州には4月中旬に渡来し、秋は9月上旬から10月中旬までに渡去する。九州南部には冬期とどまるものがある。薩南諸島以南には、冬鳥として10月頃渡来し、3月までとどまる。ササゴイは、かつては普通に繁殖していたが、現在では著しく数が減っている鳥である。北海道を除いた全国の平野からあまり高くない山地までの、主に河川の流域に繁殖しているものと思われる。岩手県以北では繁殖は一例のみ、四国の中部や、紀伊半島、本州中部など山岳地帯には生息していない。平野部でも、関東平野、濃尾平野、大阪平野など都市化のすすんだところには全く生息していないところから、環境の変化や水質の汚染等に敏感で、水のきれいな河川の流域を好む鳥と思われる。生息のみの記録(Cランク)は各地に多いので、今後の調査に期待したい。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

38

24

60

122

構 成 比(%)

31.1

19.7

49.2

100.0

 

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