051 ゴ イ サ ギ

 全長575mm。翼開長1,080mm。成鳥では上面緑黒色で下面は白色。翼は灰色である。繁殖期には後頭部に2本の白い飾り羽が出る。嘴は黒く脚は黄色い。幼鳥は全身褐色で下面はずっと淡い。背面に淡色斑、下面に黒褐色縦斑がたくさんある。俗に星ゴイと言われるのはこの幼鳥のことである。夜行性で、昼間は、スギ、マツ等の梢を塒として眠り、夕暮の薄闇が迫る頃水田、湖沼畔、沼沢、アシ原、入江等に飛来し、朝方近くまでずっと餌をあさる。餌は両生類(カエル、その幼生と卵)、魚類(ドジョウ、フナ)、甲殻類(アメリカザリガニ、ヌマエビ)、昆虫、クモ等である。塒についている時は少群または大群のことが多い。夕暮や明け方、採餌地と塒を往復する飛翔中によく鳴き、一声ずつ間隔を置いて鳴く。両足を交互に出して地上を歩いたり、背を丸め、太い首を縮めてじっとしていることが多い。飛翔姿は体の割に翼が長く、先端は丸味を帯びる。羽ばたきは緩慢で尾から脚が少々出る。マツ、スギの林、雑木林、竹薮等に集団で繁殖し、コサギ、アオサギ等他のサギ類と混生して営巣することが多い。巣は地上2m前後のものが多いが、他種のサギと混生する時は林の最下層に営巣することが多い。木の枝、竹、枯草でできた粗雑な巣が1本の樹にいくつもとなり合っている。産卵期は4〜8月で1巣の卵数は3〜6個である。

 我国では北海道、本州、佐渡、隠岐、四国、九州、対馬、伊豆諸島(大島、新島、三宅島、御蔵島、八丈島、鳥島)、小笠原群島(聟島、父島、母島)、硫黄列島(北硫黄島)、北部琉球(奄美大島)、中部琉球(沖縄)、南部琉球(宮古島、石垣島、西表島、与那国島)に分布するが、繁殖は本州以南である。本州以南では留鳥として周年生息するものが多いが、北部のものは冬期南部へ漂行し、また台湾、フィリピン等へ渡るものもある。

 今回の調査では、岩手県以南の本州、四国及び九州で繁殖が確認され、混生してコロニーを作るサギ類6種(ダイサギ、チュウサギ、コサギ、ゴイサギ、アマサギ、アオサギ)中最も繁殖域が広かった。平野部や沿岸地方を中心に、仙台平野周辺、関東、瀬戸内地方、石川県以南の日本海沿岸、九州にコロニーの数が多い。海岸地方に多いが内陸でも繁殖している。生息のみのCランクが各地に多く記録されたが、夏期に非繁殖個体が小群を作る場合もあるので、生息記録はそのまま繁殖の可能性には結びつかない。本種は岩手県でも繁殖しており、東北北部でも繁殖の可能性が考えられる。なお現在まで北海道では繁殖の記録はない。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

111

52

153

316

構 成 比(%)

35.1

16.5

48.4

100.0

 

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