047 オオヨシゴイ

 全長390mm。♂は頭が黒く、後頭から背面は一様に黒っぽい栗褐色。下面は淡灰褐色で、喉から胸にかけて一本の細い縦線がある。翼は雨覆部が大きく灰色っぼいので、飛翔中は黒っぽい他の部分との対照が鮮やかである。♀は背面の栗褐色に小白斑がたくさんあり、下面にも縦斑がある。北海道や本州では夏鳥として春の3月頃に渡来し、秋の11月頃までとどまる。本州南部では越冬するものもある。標高800m位までのアシ原、沼沢、稲田、湿地の草原や湖畔、河畔の草原に生息する。単独、または♂♀で生活し、地上に降りていることが多いが、見通しのよいところには体を露出させず、水草やヨシの繁茂した中にひそみ、草間の地上や水中を歩渉して活動する。樹上に止まってじっと休むこともある。飛び立つ時には頸を前方に伸ばし、脚をだらりと下げている。飛翔は緩慢な羽ばたきで、直線的にふわりとアシの上すれすれぐらいを低く飛ぷ。この時頸はS字型に曲げている。夕暮れや暁によく動きまわる。食性は動物質で主として魚類を餌とする。敵を警戒する時には嘴を上に向け、首を真すぐ上に伸ばして静止し、相手の動きに応じて、常に下面を相手に見せるようにして動いてゆく動作を行うが、これはヨシゴイと同じである。繁殖期にはウーウーウーとうめくように連続して鳴く。巣は主として水辺の草原の地上にあり、時にはヨシなどの、水面から1m以下の高さの茎に営巣するものもある。草の茎、カヤの茎等を主材とした粗雑な皿型の巣で、産卵期は5〜7月である。1巣の卵数は5〜6個。

 分布は北海道、本州、佐渡、四国、九州、対馬、伊豆諸島、小笠原諸島(父島)、硫黄列島、南部琉球(石垣島)、大東群島(南大東島)であるが、繁殖が確認されているのは北海道、佐渡、本州中部以北のみである。今回の調査では、繁殖確認は本州で3サブメッシュのみであった。繁殖地は前述のヨシゴイと重複しているが、生息範囲は更に大きく限られ、数も少いと思われる。なお、霞ケ浦周辺では夏期、比較的普通に観察されており、繁殖は確実と思われる(環境庁 1978)。ヨシゴイの仲間は一般にアシ原の奥深くひそんでいるので生息の確認が困難な場合が多く、特にオオヨシゴイはヨシゴイとの区別は難しいが、今後の調査網の整備によって主たる繁殖地の把握が早急にのぞまれる鳥種である。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

3

6

0

9

構 成 比(%)

33.3

66.7

0.0

100.0

 

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