ツバメ / Hirundo rustica

[分布と生態」 北半球の温帯地方に広く分布し、日本では北海道から九州までの地域に夏鳥として渡来します。 稀に、越冬する固体もいますが、それらは日本よりも北の地域で繁殖する固体と考えられています。3月下旬から 4月上旬頃に渡来し、人家や商店、駅や官公庁などの建物に巣を作り、順調にいけば2回の子育てを行います。 しなやかな翼を使って巧みに飛びながら、空中を飛んだり漂っている昆虫を捕らえて餌にします。繁殖期の後半になると、 巣立った若鶏はヨシ原などに集まって夜を過ごすようになり、数千羽から数万羽のねぐらができることもあります。 9月から10月にかけて東南アジアに渡り去ります。
[今回の調査結果] 北海道から鹿児島県にいたる、すべての県で巣が記録されました。北海道・東北地方では、 関東以西の地方とくらべると、記録された巣の件数が少なく密度が低いことが改めて確認されました。 とくに南部を除く北海道での繁殖は稀で、今回の調査で紋別と根室で巣が見つかったのは貴重な記録となります。


コシアカツバメ / Hirundo daurica

[分布と生態」 東南アジアから地中海沿岸地方までに分布し、日本には北海道から九州までの地域に夏鳥として渡来します。 稀に越冬する固体もいます。ツバメよりも1ヶ月ほど遅く、4月下旬から5月上旬に渡来します。建物や橋で営巣し、 巣の形がトックリ型をしている点に大きな特徴があります。ツバメと同じように昆虫を餌にしますが、 滑空をおもにゆったりと飛び、ツバメよりも空中の高いところで餌をとる傾向があります。 10月から11月初めまで繁殖地に留まり、巣をねぐらに使いつづけます。
[今回の調査結果] 関東地方以西に多く分布し、とくに近畿地方から中国地方にかけて、 多く生息している傾向が明らかになりました。東北地方では、日本海側の方がより北まで分布するとされてきました。 今回の調査でも秋田県で巣が記録され、同じ傾向が改めて裏付けられました。北海道では過去にごく少数の繁殖例がありますが、 今回は記録されませんでした。


イワツバメ / Delichon urbica

[分布と生態」 東南アジアからヨーロッパにかけて分布し、日本では北海道から九州までの地域に夏鳥として渡来します。 西南日本では越冬する固体も少数見られます。3月中下旬に渡来し、大きな建物や橋に集団で巣を作ります。また、海岸や山地で、 自然の岸壁に営巣していることもあります。高い空を集団で飛び回りながら、昆虫を捕らえて餌にします。秋には、東南アジアに渡り去りますが、 繁殖が終わってから渡去するまでの生活の様子はあまり分かっていません。
[今回の調査結果] 北海道・東北地方から関東甲信越地方で多く記録されました。西南日本でも転々と巣が見つかり、 もっとも南の記録は、熊本県のものでした。従来、繁殖の記録が稀だった和歌山県・長崎県では、今回の結果が貴重な記録になりました。


リュウキュウツバメ / Hirundo tahitica

[分布と生態」 南太平洋の島々からオーストラリアに広く分布し、日本では沖縄県に留鳥として生息しています。 建物や橋、洞窟などに営巣し、巣の形はツバメによく似ています。
[今回の調査結果] 沖縄本島のみで記録されました。報告がわずか4件と少なく、分布状況は充分把握できたとは言えません。 どの島で繁殖しているのかなど、今後きめの細かい分布調査を行う必要があります。


ヒメアマツバメ / Apus affinis

[分布と生態」 アマツバメ科というツバメ類とは縁の遠い別のグループに属していますが、空中を飛びながら昆虫を捕らえる点は同じで、 見かけもよく似ています。アフリカから東南アジアにいたる熱帯から暖温帯地方に広く分布し、日本では1967年に静岡県で初めて繁殖が確認されました。 現在では関東地方から沖縄地方にいたる、おもに太平洋側の地域に留鳥として生息しており、一年中、巣をねぐらに使う習性を持っています。
[今回の調査結果] 関東地方以西で合計37地点の繁殖が確認されました。愛知県、三重県、徳島県では、従来報告がなかったので、 貴重な記録になりました。分布の大きな傾向に変化はありませんが、全体にやや分布域が多くなっていることが明らかになりました。


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