オオシマゼミ / Meimuna oshimensis

[分布と生態] 奄美大島から沖縄本島までの南西諸島に分布し、8月から11月に発生する中型のセミ。山間部に見られ、スダジイ、リュウキュウマツなど、いろいろな林に生息します。
[今回の調査結果] 沖縄本島から1個だけぬけがらが寄せられました。この個数から見れば、生息数が少ないように思われますが、沖縄県名護市名護城では、10月下旬の最盛期には大木に多数の成虫を見ることができるそうです。時期を選んで再び収集してみてください。


クロイワツクツク / Meimuna kuroiwae

[分布と生態] 九州(大隈半島)から沖縄本島以北の南西諸島に分布し、7月から11月に発生する中型のセミ。平地から山間部に生息し、その数も多く見られます。また、山間部よりは、人家周辺の林で多いようです。いろいろな林に生息し、特に好む樹種はありません。
[今回の調査結果] 今回寄せられたぬけがらは、沖縄本島からの2個だけでした。人家近くに多く住むセミとしては、以外な結果です。これは公園や人家の庭など、収集しやすい環境で発生が見られないことによるものか、その原因について発生地の詳しい情報を得る必要があります。


イワサキゼミ / Meimuna iwasakii

[分布と生態] 石垣島や西表島などに分布し、7月から11月にかけて発生するセミ。おもに山間部に見られ、リュウキュウマツやいろいろな広葉樹の林に生息します。
[今回の調査結果] 2個のぬけがらが寄せられました。いずれも、従来から知られている分布域のものです。寄せられた個数から見れば、生息数も少ないように思われますが、西表島では最盛期の9月下旬にはオオバイヌビワなどに群生するといいます。時期を選んで再び収集してみてください。


ツマグロゼミ / Nipponosemia terminalis

[分布と生態] 宮古島以西の南西諸島に分布し、4月から7月に発生する中型のセミ。カラスザンショウやイスノキなどからなる林に生息します。ぬけがらは、地上1m以下についていることが多いようです。
[今回の調査結果] 宮古島と石垣島から1個ずつのぬけがらが寄せられました。屋敷林などの身近な林にも生息するので、以外な結果です。今後、詳細な調査が必要です。なお、従来の知見では宮古島以西ではどの島にも生息するという報告もありますが、与那国島に生息するかどうか疑問が残るといいます。この島で見つけたら知らせてください。


イワサキクサゼミ / Mogannia minuta

[分布と生態] 沖縄本島以西の南西諸島に分布する日本最小のセミ。3月から7月に発生します。日本のセミは木で生活する種類がほとんどですが、この種類はサトウキビ、チガヤなどイネ科の草原などに生活する風変わりなセミです。
[今回の調査結果] 沖縄本島から9個のぬけがらが寄せられました。沖縄本乙では南部の一地域に産地が限定されていますが、報告のあった記録も従来から知られている分布域からのものでした。また、石垣島の大発生地からの記録を期待しましたが、報告はありませんでした。南西諸島では多いとされるセミですが、分布域の全域でサトウキビ畑を足がかりに大発生しているのか、島別の詳細な分布などを調べる必要があります。


オガサワラゼミ / Meimuna boninensis

[分布と生態] 小笠原諸島に限って分布し、5月から12月にかけて長期間の発生をする中型のセミ。小笠原固有種ということで昭和45年に国の天然記念物に指定されました。本種は、南西諸島に生息するクロイワツクツクにきわめて似ているところから、南西諸島から植物を移入したとき、人為的に運ばれて住み着いてしまったセミであるという説もあります。
[今回の調査結果] 母島から1個のぬけがらが寄せられました。


エゾチッチゼミ / Cicadetta yezoensis

[分布と生態] 北海道の頭部に分布し、8月から9月に発生する小型のセミ。海岸近くから山地にかけて見られ、エゾマツ、ミズナラなど、いろいろな林に生息します。
[今回の調査結果] 北海道から7個のぬけがらが寄せられました。本種のぬけがらは、今回の調査の前まではメス1個しか見つかっていませんでしたので、一挙にオスを含む7個が見つかったことは大きな成果です。分布域としては、従来から知られている範囲からの記録でしたが、記録自体が少ないセミですので、これからの分布を調べる時の重要な参考になります。なお、今回の調査と同じ年(1995年)に、芽室町で多数のぬけがらが見つかり、林正美氏によって報告されています。



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