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私たちは、事業活動や日常生活を通じて、
私たちは、事業活動や日常生活を通じて、生態系サービス(生物多様性の恵み、自然の恵み)を享受すると同時に、生物多様性に様々な影響を与えています。
私たち人間が生きていくために必要な食料はもちろん、衣食住に関するものの多くは、生物多様性の恵みに由来しています。また、経済分野では、生態系サービスの供給源である天然の資本を「自然資本」と呼び、その持続的な利用が事業活動の持続可能性を確保するために不可欠との認識が広がりつつあります。
一方、生物多様性への影響は、生物多様性基本法に基づく生物多様性国家戦略において、生物多様性に及ぼす「第1の危機」「第2の危機」「第3の危機」「第4の危機」として分類されています。
参考:生物多様性の危機とは(生物多様性国家戦略2012-2020による)
では、事業活動が生物多様性に与える影響についてはどうでしょうか。
このように考えると、生物多様性に影響を与えない業種は、現実には存在しないと考えられます。
2009年に環境省が公表した 生物多様性民間参画ガイドライン では、このような自社の「事業活動と生物多様性の関係」を分析、理解し、その影響の低減を図り、生物多様性の保全と持続可能な利用に取り組むことを促しています。下図は、家電量販店で販売されるパソコンを例に、生物多様性とどのような関係がありうるのか、その概略をイメージするための模式図です。
例:パソコンの製造・販売と生物多様性との関係(模式図)
事業活動が生物多様性に与える影響は様々で、複雑に絡み合っているので、正確に分析し、理解することは容易ではありませんが、産業・業種別に生物多様性との関わりを考える際の参考となるよう、その関係性をイメージとして次に示します。
農業(稲・畑作) | 農業(畜産) | 林業 |
漁業(養殖以外) | 漁業(養殖) | 鉱業 |
建設業 | 製造業(電子・電機) | 製造業(食品・飲料) |
製造業(パルプ・紙)) | エネルギー産業 | 水道業 |
情報通信業 | 運輸・郵便業 | 卸売業・小売業 |
金融業・保険業 | 不動産業 | 物品賃貸業 |
学術研究・教育サービス | 宿泊・飲食業 | 生活関連サービス |
医療・福祉 | 観光業 | リサイクル・廃棄物処理業 |
参考:
JBIB(ビジネスと生物多様性イニシアチブ)参加企業では、このような分析を重ね、企業と生物多様性の関わりを可視化するツールである「生物多様性 関係性マップ」を作成し、公表しています。
URL:http://www.jbib.org/
私たちが生物多様性から受ける恵み、すなわち自然の恵みを、生態系サービスと呼んでいます。国連が発表した報告書では生態系サービスを、「供給サービス」「調整サービス」「文化的サービス」「基盤サービス(生息・生育地サービス)」の4つのグループに分類しています。
そして、あらゆる事業活動は、この生態系サービスに依存して成り立っています。
例えば、第一次産業は、太陽エネルギーに支えられ、直接的に自然の恵みを受けて生産活動を行うので、農林水産物を生産・加工する分野の事業活動のすべてが、直接的又は間接的に生態系サービスに支えられていると言えます。また、すべての事業者が日常的に使用している紙や水も、生態系サービスとして生物多様性から供給されているものです。