熊本市における地下水涵養機能保全政策の評価

地下水を利用した水基
評価対象 熊本市における地下水涵養機能保全政策の評価
区分 国内
場所 熊本県
評価年 2003年
評価の実施者 山根史博/浅野耕太/市川勉/藤見俊夫/吉野章
評価に至った
経緯

  • 熊本地域は、生活用水の全てを地下水から供給している、世界でもまれな地域であるが、近年、地下水位が低下する傾向にあり、将来深刻な水不足が懸念されている。
  • 熊本県を流れる白川の上・中流域の土地利用変化が地下水の涵養を低下させ、地下水位低下の最大の原因であることが明らかになっており、これに対し水田利用調整を主とした地下水保全政策が提案され、その効果の推定も行われている。
  • このような地下水保全政策の経済的な価値を評価することは、情報提供の観点から一定の意義があることから実施された。

評価手法 CVM
評価結果
  • 熊本市民を対象に、郵送によるアンケート調査を実施した。(有効回答数490人)
  • 地下水保全税の負担により、阿蘇地域への植林や白川中流域の農家の田んぼに水を張ってもらうことで地下水量を回復させることに対する支払意思額を尋ねた。

■CVMにより推定されたWTP(1世帯当たり)

中央値:
1,045円/月
平均値:
2,287円/月

■熊本市の世帯数を乗じて推定された評価額

中央値:
約33億円/年
平均値:
約71億円/年
  • 仮に、アンケートに協力しなかった人の支払意思額を0円として算出した場合、年間評価額は約5億円となった。
参考資料

山根他(2003)『熊本市民による地下水保全政策の経済評価-上下流連携に向けて-』農村計画学会誌Vol.22,№3,pp.203-208