ダムの撤去により回復する河川生態系の価値

サケの遡上
評価対象 ダムの撤去により回復する河川生態系の価値
区分 北アメリカ州
場所 アメリカ
評価年 1990年代
評価の実施者 Loomis(コロラド大学)
評価に至った
経緯
  • エルワ川(アメリカ ワシントン州)にはエルワダムとグラインズ・キャニオンダムの二つのダムがあり、しかもそのうちの一つは国立公園の中にあった。ダム建設前にはエルワ川にはたくさんのサケが生息していたがダムにより川の連続性が断たれた後はサケの生息数が激減した。
  • このエルワ川にあるダムを撤去する計画があり、撤去には莫大な費用が必要であることから、そこまでの費用をかけてでも河川生態系を保全するためにダムを撤去すべきかどうか、様々な議論が交わされていた。このような背景の中、ダム撤去で回復する河川生態系の価値を評価した。
評価手法 CVM
評価結果

  • 全米の一般市民2,500世帯を対象に、郵送によってアンケート調査が実施された。
  • エルワ川の2つのダムを撤去して、河川や魚の生息数を元に回復させることに対する支払意思額を尋ねた。

■CVMにより推定されたWTP(1世帯あたり)

平均値:
68ドル/年

■WTPに全米の有効世帯数を乗じた評価額

エルワ川ダムの河川生態系を回復させる価値:
30~60億ドル/年
  • これはダム撤去に必要な費用(3億ドル)の10倍以上であった。
成果の活用
  • 評価結果は、1995年に提出された環境影響評価書に掲載された。
  • CVMの評価結果だけで決定したわけではないが、連邦議会は1992年に「エルワ川生態系および漁業回復法」を可決してダムを撤去することを決定した。
参考資料

栗山浩一著(1997)『公共事業と環境の価値―CVMガイドブック』築地書館