評価対象 |
鉱床開発により損害を受けるカカドゥ国立公園の環境の価値 |
区分 |
オセアニア州 |
場所 |
オーストラリア |
評価年 |
1990年 |
評価の実施者 |
オーストラリア保護区評価委員会(RAC) |
評価に至った
経緯 |
- 1990 年代初頭、オーストラリアの保護区評価委員会(RAC)は、カカドゥ保護地区の利用に関する選択肢を調査した。選択肢には、鉱業のためにカカドゥ保護地区を開発すること(莫大な埋蔵量の金、プラチナおよびパラジウムが存在すると考えられていた)、あるいはカカドゥ保護地区を隣接するカカドゥ国立公園に結合することが含まれていた。
- この鉱床開発に対して環境保護団体は反対し、開発を後援する採鉱企業は、環境被害は最小限であり、社会はカカドゥ保護地区に高い価値を置かないと論じた。
- このような状況の中でRACがカカドゥ保護地区の潜在的な損害の経済的価値を評価した。
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評価手法 |
CVM |
評価結果 |
- 鉱業がもたらす可能性のある損害を回避することに対する支払意思額(WTP)を尋ねた。
- オーストラリア全土を対象に、18歳以上を対象とした訪問面接によるアンケート調査が実施された。(回答サンプル数 2,034人)
■小規模な損害を回避するシナリオに対するWTP
- 平均値:
- 80オーストラリアドル
■WTPにオーストラリアの全世帯数を乗じて推定された評価額
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- 4億3,500万オーストラリアドル
- これは鉱床開発の正味現在価値である、推定1億200万オーストラリアドルをはるかに上回った。
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成果の活用 |
- RACの報告に従って、1990年、オーストラリア政府はカカドゥ保護地区の採鉱許可を出さないことに決定した。
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参考資料 |
TEEB報告書和訳暫定版(2011年 公益財団法人地球環境戦略研究機関【IGES】)第3部:ビジネス向け(TEEB for Business) |