調査結果6
ツバメの巣作りは歓迎されているの? |
家にツバメが巣を作ることは、かつては縁起がよいと言われ、人々に歓迎されていました。しかし、近年は、糞が落ちることが嫌われ、迷惑だという話を耳にする機会が増えてきました。そこで、ツバメ類が巣を作っている住宅や商店の方へのインタビューを通して、現代の社会の中で、ツバメの巣作りはどのように受け止められているかについて探ってみました。
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いつから巣を作っているかという問いに対しては、約半数の方が6年以上前からと答えておられ、同じ建物に巣を作り続けているケースが多いことが分かりました。また、巣立ったかという問いに対しては、75%の方が巣立ったことがあるという答えでした。この回答率は、それだけ多くの方がツバメの動向に注意しておられることを示してもいるでしょう。 |
ツバメに対する気持ちをうかがったところ、農村部でも都市部でも、全体の4分の3の方は、歓迎していると回答されました。それだけ、ツバメを大事にする方が多いことが分かったことは大きな収穫でした。とくに、店先に商品を置いてあることの多い商店の方々も歓迎しているという回答が多かったことは、たいへんうれしいことでした。
しかし、これは、ツバメを迷惑と感じる人は、ツバメが営巣できないようにしており、現在営巣している家では歓迎されているということかもしれません。この結果に安心することなく、ツバメのような身近な生きものを歓迎する気持ちを持つ社会にしていきたいものです。
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インタビューで、ツバメの巣作りについて、工夫をしていることをうかがったところ、さまざまなお答えをいただくことができました。いちばん多かったのは、糞に対する対策で、下に新聞紙を敷くという簡単なものから、ダンボールや傘などを利用して糞よけを作るなどの工夫が報告されました。張り紙や看板で糞が落ちることへの注意を呼びかけている方も見られました。駅のような場所でのユーモラスな張り紙は、通る人の気持ちをなごませる効果があるでしょう。巣が作りやすいように、木などで巣台を作っているという方も多いようです。巣全体が乗るような大型の巣台もあれば、小さな板や釘などで泥をつける手がかりだけを提供している場合もありました。室内で営巣している場合には、窓を常時細く開けておいたり、シャッターや壁に穴を開けて、ツバメの通り道を確保しているという例もありました。巣が落ちてしまった時に、補強して元の位置に戻したり、別の箱にヒナを入れて巣の代わりにされた方もいました。多くの人の助けを借りて、ツバメたちは巣作りをしているようです。
ツバメの生活を助ける工夫の中には、古くから伝統的に続けられてきたものもありました。こうした写真を見ると、ツバメが人の暮らしと深い関わりを持ってきた野鳥であることを改めて感じることができます。
立派な看板で協力をお願い |
しっかりした糞よけ。 巣から離れていると衛生的 |
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(写真/滋賀県・西澤一弘さん) 撮影地:三重県
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(写真/愛知県・金子明人さん)
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傘を利用した糞よけ。 天井にしっかり止めてある |
立派に工作された糞よけ |
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(写真/福岡県・木村道子さん)
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(写真/高知県・小野千恵さん)
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ワラ製の小鳥の巣を吊るした中に営巣。 糞よけも立派 |
厚手の板で作られた巣台。 小さめの巣台は糞がたまらなくて衛生的 |
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(写真/静岡県・嶋本浩士さん)
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(写真/神奈川県・竹内時男さん)
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巣が落ちた後にセットしたボール箱で営巣 |
カラスよけに糸を張っている |
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(写真/群馬県・福島信男さん)
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(写真/千葉県・小山利明さん)
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板とアングルを使った巣台。 壁に接していなくても利用する |
作業小屋の中に営巣したツバメのために窓をいつも開けている |
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(写真/愛知県・林石根さん)
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(写真/新潟県・渋谷美奈子さん)
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ワラと竹で作った民芸的な素材の糞よけ |
育雛中は夜間でも玄関の戸を少し開けて出入口にしている |
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(写真/和歌山県・深瀬■さん) |
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(写真/福島県・阿部孝寿)
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外壁に10cm四方の穴を開けて 出入口にしている |
伊勢地方では、玄関のしめ縄が一年中つけられており、そこにツバメが営巣する |
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(写真/滋賀県・小嵜ユキさん)
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(写真/三重県・清水政美さん)
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竹を組み合わせて作った台を吊るす。 ヘビよけの効果があるという |
竹を曲げて作った吊り巣の台 |
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(写真/和歌山県・竹田弘さん)
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(写真/島根県・高橋幸子さん)
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※写真はすべてツバメによるものです。 |