大都市にも

 ツバメは

  巣を作るの?

 

 大都市はツバメ類にとってすみにくい環境と考えられます。巣を作るための建物に不自由はしませんが、巣の材料になる泥や、餌になる虫を手に入れるのが難しいからです。東京や大阪のような大都市では、ツバメの巣が少ないのではないかという予想のもとに、報告された巣の位置を細かく分析することにしました。そのために3次メッシュを植生自然度別に色分けし、その上に巣の見つかったメッシュをプロットしてみました。

1 ツバメ

■東京圏

 今回の調査では、ツバメの巣がなかったのか、報告がなかっただけなのかが区別できないので、はっきりしたことは言えませんが、この地図を見ているといくつかの傾向が浮かび上がってきます。東京では、臨海部の埋立地でほとんど巣が見つかっていません。埋め立て後まもなく、裸地が続いているような場所はもちろんですが、市街地となっている所でも同じような傾向です。また、中央区・千代田区・港区などのいわゆる都心でも、巣の発見が少数でした。

 大阪では、その傾向がさらにはっきりしています。巣の報告は、大阪市の中心部からは非常に少なく、郊外に集中し、全体的にはドーナツ型の分布を示していることが読みとれます。ただし、この傾向は調査者数の偏りによる可能性もあるので、今後確認していく必要があるでしょう。

凡 例

■大阪圏

● ツバメの巣の報告のあったメッシュ

植生自然度*

*植生自然度:人為の影響の度合から土地の自然性がどの程度残されているかを示す一つの指標。

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