“ツバメの巣”をテーマに、たくさんの方々にご協力いただいた「'97身近な生きもの調査」。みなさんからお寄せいただいた貴重なデータの集大成をお届けします。
ご参加いただいたみなさんのご協力のおかげで、日本にいる5種のツバメ類と3種のアマツバメ類のうち、5種について全国の分布状況をつかむことができました。また、巣を作る位置や繁殖に失敗する原因、ツバメの巣作りを歓迎しているかなど、ツバメに関するさまざまなことがらを知ることができました。
みなさん一人ひとりからいただいたデータは、地図上の一つひとつの小さな記号に凝縮されています。お送りくださったご自分のデータを確認していただくとともに、調査をなさっていたときの気持ちを思い出して、これからも身近な生きもの、身の回りの自然に関心を持ち続けていっていただきたいと思います。
調査期間を通じてたくさんのお便りをいただきました。みなさんが楽しみながらこの調査に参加された様子、調査が家族の絆を深めるのに一役買った様子などをお知らせいただき、私どもといたしましてもたいへんうれしく感じた次第です。残念ながら一つひとつのお便りにお返事ができませんでしたが、写真をたくさんお寄せいただいたので、その中でも興味深いものをいくつかご紹介させていただき、この報告書をもってお返事に代えさせていただきたいと思います。
今回の調査結果は、今後の自然保護行政に有効に活用してまいります。
このたびのご協力に対し厚くお礼申し上げるとともに、今後ともご支援、ご協力をお願いいたします。
●「緑の国勢調査」は6回目を実施中
みなさんにご参加いただいた「身近な生きもの調査」は、環境庁がおおむね5年おきに実施している「緑の国勢調査」の一環として行いました。
この「緑の国勢調査」は、正式には自然環境保全基礎調査といい、植生や動植物の分布、海岸や河川、湖沼の改変など、日本の自然環境のさまざまな項目を調べています。昭和48年度に第1回の調査がスタートし、平成11年度から第6回の調査を始めます。この調査は1自然環境の現状を明らかにすること、2調査の積み重ねによって自然の変化を把握すること、3自然環境保全のためのいろいろな施策のための基礎資料を提供すること、などを目的に実施しています。
●「身近な生きもの調査」は今回が3回目
広く一般の方々に参加していただく「身近な生きもの調査」は、昭和59年度にはじめて行い、2回目を平成2年度に行いました。今回はそれに続く3回目。1、2回目と異なり、テーマを絞って調査を進めました。
今回みなさんにご参加いただいた“ツバメの巣調査”に先だってすでに「セミのぬけがら調査」、「ひっつきむし調査」を行っており、ツバメの巣調査の後にどのような調査を実施するか現在検討を行っております。
参加申し込みをいただきました
■都道府県別参加者数
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平成9年(1997)の3月以降、環境庁が作成したパンフレットやマスコミを通じてこの調査を知られた方から多数のお問い合わせをいただき、最終的に個人、団体をあわせて、31,352名の方から参加の申し込みをいただきました。 参加者数を都道府県別に集計したのが左の表です。神奈川、東京、兵庫、愛知、静岡が参加者数の多かった上位5都県でした。
●寄せられた調査票数 「'97身近な生きもの調査」では、ツバメの巣と巣のあった建造物の写真を調査票に貼りつけてお送りいただきました。調査票の総数は、8,711枚に上りました。 |
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この調査に参加していただいた方には、家や学校、勤め先の近く、あるいは旅行先で見つけたツバメ類の巣について報告していただきました。調査票に記入していただいたのは、下記のような項目です。
●巣のあった場所の名前
●巣のあった場所の地名または住所
●建造物のあったまわりの環境
●巣のあった建造物の種類
●商店やお家の方にインタビュー
●ツバメの種類
●巣のようす
●くらしのようす
●途中でダメになった(繁殖に失敗した)場合の原因
身近な生きもの調査では、参加者のみなさんに調べていただいた調査記録を、さらに確実なものとするために、セミの場合はぬけがら、ひっつきむしの場合は草の果実を送っていただき、専門家がそれを使って調査票の確認を行うという方法をとってきました。今回は、建造物全体と、ツバメ類の巣の写真を調査票に貼りつけて送っていただき、それによって確認をしました。