調査結果3

身近なひっつきむし

 都道府県単位で報告されたひっつきむしを多い順に並べると、北海道ではキンミズヒキがもっとも多く、北日本ではアメリカセンダングサキンミズヒキヒナタイノコズチ、日本海側と中国地方では、アメリカセンダングサヒナタイノコズチ、福島県以南の太平洋側と四国、九州ではコセンダングサヒナタイノコズチとなり、それぞれ地域ごとに特色が見られました。

 都道府県ごとにひっつきむしの報告数が違いますので、この順位や比率がそのまま各地の特色を示しているとは限りませんが、おおよその傾向は示していると考えられます。「ひっつきむし」と言われてまず思い浮かべる種は地域ごとに異なるのではないでしょうか。

 さらに細かく見ると、北海道ではキンミズヒキだけで40%、東北地方では福島県を除きアメリカセンダングサキンミズヒキヒナタイノコズチで50〜70%を占めています。茨城県ではオオオナモミが多く、関東地方では茨城・栃木県を除き、コセンダングサヒナタイノコズチで約50%、東海地方ではコセンダングサヒナタイノコズチで40〜60%を占めています。内陸部の山梨・長野・岐阜・滋賀・奈良県ではアメリカセンダングサが多く見られます。奈良県を除く近畿地方ではコセンダングサヒナタイノコズチが多く、新潟県以南の本州日本海側と中国地方ではアメリカセンダングサヒナタイノコズチが40〜60%を占め、四国ではコセンダングサヒナタイノコズチが多く、九州ではコセンダングサオオオナモミが多いことがわかりました。沖縄県ではコセンダングサだけが採集されました。

 調査対象種の多くは全国に分布するとされる種なのですが、このような各地域の特徴は北と南、太平洋側と日本海側の気候の違いなどを反映していると考えられます。また、身近に水田が多い、あるいは雑木林があるといった環境の違いも反映していると思われます。

 

 

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