調査結果 4

環境によって違うセミの種類

 速報版でもお知らせしましたが、環境によってすんでいるセミの種類がどのくらい違っているか、調査票(A票)に記入していただいた「ぬけがらをみつけた場所の環境」のデータを使って集計しました。速報版では、関東地方と近畿地方だけの集計でしたが、今回は全国を10の地方に分け、それぞれで公園や庭と、丘陵地や山での種類構成についてグラフにして比較してみました。

 北海道では、公園や庭でエゾゼミアブラゼミコエゾゼミエゾハルゼミが優勢する種類です。森林でも、この傾向は変わりませんが、アブラゼミが減少し、かわってエゾハルゼミが多く見られるようになります。本州〜九州と違い、公園や庭などの都市化された環境でも、セミの種類構成が単純化しないのが特色です。

 一方、本州〜九州では、公園や庭は特定の種類が優勢になる傾向が強く、東日本ではアブラゼミが約60%、西日本ではクマゼミアブラゼミが合わせて約80%を占めています。森林になると、この割合は東日本で20〜40%、西日本で40〜60%と下がります。この下がった分を、東北地方などではヒグラシエゾゼミエゾハルゼミが、関東地方以西では、ヒグラシツクツクボウシニイニイゼミが分け合う形となっています。このように、これらの地域では、公園や庭のセミ類の種類構成が明らかに単純化しています。また、ヒグラシエゾゼミエゾハルゼミでは、公園などと森林での割合が大きく異なっており、都市化の影響を強く受けていることが推察されます。

 ※沖縄地方については、ぬけがらの個数が少なく、環境別の正確な傾向を反映していないと考えられますので、ここには掲載しませんでした。

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