8. 茨城県

 

(1) 分布及び消滅状況の概要
 現存藻場
 本県の藻場は、大洗以北にかけての岩礁沿岸に集中して分布する。北茨城市〜日立市にかけての北部に分布する藻場は、ハナフノリ、ウシケノリ、マルバアマノリ、アナアオサ、ヒジキ、イボツノマタ、ネジモク、ワカメ、アラメ、アカバ、スガモ等が一般的な構成種である。一方、那珂湊市平磯〜大洗町にかけての中部に分布する藻場は、ランソウモドキ、ウシケノリ、ハナフノリ、アナアオサ、ナガアオサ、ボウアオノリ、ネバリモ、フトジュズモ、ヒジキ、イボツノマタ、ユナ、アラメ、ハリガネ、エビアマモ、スガモ等からなる。前回調査以降の分布域、疎密度の関する主たる変化としては、以下の通りである。
○平潟九ノ崎海岸付近は、近隣域の港湾整備工事に伴う土砂の流入の影響で、全般的な個体数の減少傾向が指摘された。
〇五浦六角堂前付近では、近接する旅館、民宿等からの生活排水の影響により、特に、大型海藻の激減傾向が確認された。
○小貝浜付近の藻場は県下有数の大規模なものであるが、近年の護岸工事の進行、及び生活排水の影響により、漸減傾向が指摘された。
    
 消滅藻場
 前回調査以降の消滅藻場は平潟薬師堂前、平潟家の前磯の2ケ所で、平潟港の港湾整備事業の進行に伴い、完全に消滅したことが現地調査により確認された。

 

現存・消滅藻場総括表

海 域 名

現 存 藻 場 消 滅 藻 場
調査区数 面 積(ha) 調査区数 面 積(ha)
鹿 島 灘 18 217 3 13
         
合   計 18 217 3 13

 

<調査実施方法>  調査はすべて現地確認調査を行った。いくつかの調査区では、地元の方々から海岸の変遷についてのヒアリング調査を行った。

 

「資料リスト」
中庭正人(1981) 茨城県高等学校教育研究会生物部編 茨城沿岸の海洋植物 茨城の生物第2集 pp.52-68.
中庭正人、船橋正隆、鴨川 充、里見武志(1985)茨城新聞社編 茨城の海の生物

 

 

(2)現存、消滅藻場一覧表

現存・消滅藻場一覧表

 

調査区
番 号
地図
番号
海 域 名 市町村名 地    名 タイプ
番 号
面 積(ha)
現存藻場 消滅藻場
1 1 鹿島灘 北茨城市 平潟薬師堂前 2・8   3
2 1 平潟家の前磯 2・8   2
3 1 平潟九ノ崎 2・4  5  
4 1・2 大平地椿磯 4 10  
5 2 五浦六角堂前 4  3  
6 2 大津鼻の磯 4 13  
7 2 天妃山前磯 4  2  
8 6 十王町 伊師浜うの島 2・4 15  
9 6 日立市 小  貝  浜 1・2・4 13  
10 6 田  尻  浜 4  4  
11 6 浜の宮公園下
(鶴首岬)
4  3  
12 6 会 瀬 初 崎 4・5  5  
13 6 河原子大島小島 4  2  
14 6 水木田楽鼻下 4  4  
15 6 古坊地鼻の磯 2・4  9  
16 7 那珂湊市 磯 崎 前 磯 2 30  
17 7 平 磯 前 磯 2 38  
18 7 さわめきの磯
 (殿山下)
2  5  
19 7 姥  の  懐 2 14  
20 7 水産高校前 8   8
21 8 大洗町 大 洗 海 岸 4 42  
               
          217 13

 

 

(3)現存、消滅藻場分布図

 

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