2.取りまとめの方法

(1)情報処理の内容と方法

情報処理は図1−5の手順で進められた。

1入 力

調査員より返送された調査票は、記入の不備等を点検した上で、分類群別、調査票種別(タテ型、ヨコ型)毎に整理番号を付し、分類群別マスターファイル(MT)を作成した。

なお、調査地(分布地)のメッシュコードは、前述のとおり行政管理庁告示の「標準地域メッシュシステム」に則り、日本工業規格(JIS C 6304)として指定されている区分方法(経緯度法)を用いている。(図1−6参照)

2データの点検

データの記入ミスあるいは調査対象種の誤認等を訂正するため、次に示す3通りの方法でデータの点検を行い、必要に応じ調査者に照会するなどにより、所要の訂正を行った。

なお、本作業を行うにあたっては、マスターファイルを編集し、作業用ファイルを作成するとともに、分布図出力及び調査票検索システムを作成した。

点検の結果、訂正等を要するデータについては、マスターファイルに遡って訂正した。

ア.論理チェック

データの中にあってはならない空白もしくは許されたもの以外の数字、符号、文字がないかどうかを点検するとともに、各項目のコード番号として用いられている範囲(レンジ)外のコード番号がないかどうかを点検した。

イ.メッシュコードの点検

第3回自然環境保全基礎調査の植生調査数値情報との照合を行い、明らかに陸地(内水面を含む)を含まないメッシュコードの記入された調査票を検索し、調査票記入の調査地(地名)もしくは調査者への照会に基づき訂正を行った。

ウ.専門家による点検

各分類群毎の分科会検討委員等によって抽出された、分布図上で、明らかに誤りと考えられるデータ、これまでの知見に照らして疑問のあるデータについて、調査票に遡って点検を行い、必要に応じ調査員に照会を行った上で所要の訂正又は削除を行った。

3分布図及び集計表の出力

上記の作業を経た訂正後のマスターファイルを再編集し、その後に第3回自然環境保全基礎調査動植物分布調査結果のマスターファイルと合併した上で本報告書掲載の分布図及び集計表の出力を行った。

(2)調査結果の検討及び考察

調査結果については、分類群毎に分科会で下記のとおり検討を行った。

1分布図の表示単位

本調査の原データは、前述の通り3次メッシュ(約1km×1km)単位で収集されたが、今回のとりまとめにおいて作成する分布図は次の観点から2次メッシュ(約10km×10km)単位で表示することとした。

ア.全国的分布図として見る場合、見やすいものであること。

イ.生息地の公表による乱獲を防止するため、生息地が特定されないようにできるだけ広い単位であること。

ウ.各種開発に当たり、配慮すべき地域(貴重種の生息地等)に関する基礎的情報をあらかじめ提供することは、自然環境保全上重要であるので、上記イ.の観点も踏まえ公表可能な表示単位であること。

2公表を控えるべきデータの取り扱い

第2回自然環境保全基礎調査・動物分布調査では、上記1−イ.の観点から、分布地を全て非公表とした調査対象種もあった。

今回調査でも、調査員からの申し出により、3次メッシュでの公表を差し控えるべきデータが若干数報告されたが、上記1−ウ.の趣旨に則り、調査員の了解が得られたデータについては、2次メッシュ情報のみ入力し、分布図に表示することとした。

3分布図についてのコメント

今回調査では、調査の期間が限られており、また分類群あるいは地域によっては、充分な調査員数が確保できなかったこと等から、調査対象種全てについて従来から知られている分布パターンを十分表した分布図が作成されたわけではない。

そこで、分布図の誤った解釈や不適切な引用を避けるために、各分科会検討員によりそれぞれの調査対象種がどの程度従来から知られている分布パターンを表現できているかについて類型区分の判定を行い、分布図上に短いコメントとして明記することとした。

4考察

調査結果に関する考察は、各分科会において選出された担当者により執筆された。

■メッシュコードの付け方

 「標準地域メッシュ・システム」(昭48.行政管理庁告示第143号「統計に用いる標準地域メッシュ及び標準地域メッシュコード)は,一定の経線、緯線で地域を網の目状に区画する方法を用いている(下図のとおり)。

 第1次地域区画は、経度差1度、緯度差40分で区画された範囲を指す。第2次地域区画は、第1次地域区画を縦横8等分したもので、第3次地域区画は第2次地域区画を縦横10等分したものである。一般に、この第3次地域区画のことを「基準地域メッシュ」あるいは「第3次メッシュ」と呼ぶ。

(3)分類群別の調査状況

分類群別の調査状況を表1−2に示す。

表1−2 分類群別調査状況

分類群

調査対象種数

報告のあった種数

延べ報告件数

 

分布情報総数

延べ報告

 

3次メッシュ数

報告2次

メッシュ数

全国:4,730

調査

 

員数

哺  乳  類

両生類・爬虫類

淡 水 魚 類

昆  虫  類

 トンボ類

 チョウ類

 セミ類

 ガ類

 甲虫類

  ハンミョウ・クワガタ類

  ハナカミキリ類

陸産および淡水産貝類

135

147

278

 

203

295

32

119

 

59

160

1,028

126

130

266

 

203

259

32

101

 

57

156

923

229,710

11,886

60,361

 

22,836

167,439

6,146

8,925

 

4,094

12,663

92,306

225,542

10,407

44,202

 

18,413

128,424

5,563

6,063

 

3,440

10,600

71,174

4,154

1,600

2,331

 

1,778

2,715

1,311

538

 

976

949

2,774

1,370

76

192

 

61

421

32

65

 

46

37

221

2,456

2,253

616,366

523,828

19,126

2,521

注)

1調査対象種数

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

各報告書の巻末資料に示された調査対象種(亜種)(コード番号が付されたもの)の数である。

淡水魚類については、種の同定が困難な場合に「○○類」として情報を収集しており、種数には「類」の数も含まれる。

陸産及び淡水産貝類については、対象種数1028種の中に、91種の種と基亜種が含まれている。

ハナカミキリ類については、別種だと思われていた2種が調査開始後に同種と判明したため、報告書とりまとめの段階では、調査対象種は159種、情報のあった種は155種となった。

2報告のあった種数

 

 

本調査の結果、分布に関する報告がされた(分布図が作成された)種(亜種)の数である。

3延べ報告件数

(分布情報総数)

 

各調査票に記載された報告を、「種−調査者−メッシュコード−調査年月」という単位で整理して得られた分布情報の総数である。

4延べ報告メッシュ数

(3次メッシュ)

 

 

 

 

 

上記(3)の分布情報から、同一種、同一メッシュにおける報告を統合し、「種−メッシュコード」という単位で整理して得られた数である。(各報告書の表2−1に示された「種別・都道府県別3次メッシュ集計表」の総合計の数)

5報告メッシュ数

(2次メッシュ)

 

当該分類群において、いずれかの種の報告が得られた2次メッシュの数である。(各報告書の表1−4、図1−7に表示されたメッシュ数)

6調査員数

各分類群毎に、報告を寄せられた調査員の数。

 

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