3.第3回基礎調査(全種調査)との相違点

 第3回基礎調査(全種調査)は、哺乳類分布調査としては初めて全種を対象とした。そのた
め、生息地が限定され、かつ研究の進んだ種については密な情報が得られたが、広域に分布し
研究者の関心の低い種については相対的に疎な情報しか得られず、種によって分布図の完成度
(情報の精粗)が大きく異なった。
  この点を幾分でも解消するために、第4回調査では広域に分布する種を中心に調査体制を拡
大した。体制の拡大は以下の2点でなされた。
  第一は、狩猟獣、有害鳥獣駆除で頻繁に捕獲される種の分布調査を環境庁の要請と協力のも
と、大日本猟友会が実施したことである。この調査は第4回基礎調査の一環として位置付けら
れ、結果は本報告書でまとめられた情報の一部として利用された。調査では平成2年から3年
にかけての狩猟期間が主な調査期間で可猟区域を中心に各地区猟友会員より分布情報を収集し
た。結果は平成3年12月にまとめられた(平成2年度狩猟管理調査狩猟鳥獣生息分布調査報告
書、大日本猟友会・日本野生生物研究センター、1991)。この調査では、各地方ごとに調査対
象種が設定された。地方と種の組合せは下の通りである。
  第二は、各都道府県の鳥獣保護員に依頼し、分布調査調査員としたことである。主な対象地
域は鳥獣保護区、休猟区などで、ここでは対象とした種は図1-3-2に示した29種である。
このうち、カニクイアライグマについては情報が得られなかった。

 地 方   対 象 種
北海道 ノウサギ、エゾリス、シマリス、ヒグマ、タヌキ、キツネ、クロテン、イタチ、ミンク、ハクビシン、エゾシカ、エゾライチョウ
東北・関東   ニホンザル、ノウウサギ、タイワンリス、ニオンリス、ムササビ、ヌートリア、ツキノワグマ、タヌキ、キツネ、テン、チョウセンイタチ、イタチ、アナグマ、ハクビシン、ニホンイノシシ、ニホンジカ、カモシカ、ヤマドリ、キジ
中部 ニホンザル、ノウサギ、タイワンリス、ニホンリス、シマリス、ムササビ、ヌートリア、ツキノワグマ、アライグマ、カニクイアライグマ、タヌキ、キツネ、テン、チョウセンイタチ、イタチ、アナグマ、ハクビシン、ニホンイノシシ、ニホンジカ、カモシカ、ヤマドリ、キジ
近畿・四国 ニホンザル、ノウサギ、タイワンリス、ニホンリス、ムササビ、ヌートリア、ツキノワグマ、タヌキ、キツネ、テン、チョウセンイタテ、イタチ、アナグマ、ハクビシン、ニホンイノシシ、ニホンジカ、カモシカ、ヤマドリ、キジ
中国 ニホンザル、ノウサギ、ニホンリス、ムササビ、ヌートリア、ツキノワグマ、タヌキ、キツネ、テン、チョウセンイタチ、イタチ、アナグマ、ハクビシン、ニホンイノシシ、ニホンジカ、ヤマドリ、キジ
九州 ニホンザル、ノウサギ、ニホンリス、ムササビ、ヌートリア、ツキノワグマ、タヌキ、キツネ、テン、チョウセンイタチ、イタチ、アナグマ、ハクビシン、ニホンイノシシ、リュウキュウイノシシ、ニホンジカ、ツシマジカ、カモシカ、ヤマドリ、キジ