2.1.3動植物分布調査・全種調査

調査の-目的
 第3回自然環境保全基礎調査・動植物分布調査の一環として動物の主要分類群の全種
  (または一部の種)を対象に専門研究者の参加・協力を得て実施したもの。
 野生動物に関する自然環境保全施策として、当面絶滅のおそれのある種の保護や、人間
 生活とのかかわりのなかで適切な保護管理を要する種に対する施策が優先的に講じられ
 ているが、本調査はこれら施策の対象となるべき種の洗い出しや、今後講ずべき施策の
 検討のための基礎的かつ客観的資料を提供する目的で、究極的にはわが国に産する動物
 群の全種に関する全国的分布の現状及び経年変化の状況を把握しようとするものである。
調査実施者
 学会等から推薦された専門研究者2,225名。
 なお、そのうち鳥類は(財)日本野鳥の会会員等1,619名。
●調査対象地域
 全国。
調査実施期間
 58年度より調査体制の構築を図り、全分類群について59年度に実施した(さらに、とり
 まとめの段階で60年度以降のデータも若干補足されている)。
 また、過去の記録、標本等も積極的に収集した。
 なお、鳥類のみ59年12月〜60年1月の期間に限定して一斉に現地調査が実施された。
調査内容
 生態系の主要な位置を占め、生物学的知見の蓄積がある等の要件を満たし、さらに調査
 実施体制の構築が可能という観点を加味して次の分類群に属する全部又は一部の種・亜
 種を対象とした。

 ○哺乳類(全種)
 ○鳥類(〃)
 ○両生類・爬虫類(〃)
 ○淡水魚類(〃)
 ○昆虫類(トンボ・チョウ・セミ類の全種及びガ・甲虫類の一部)
 ○陸産及び淡水産貝類(全種)

 上記の調査対象種について「いつ、どこに、何がいたか」、及び必要に応じて情報源を
 たどるために「誰が報告したか」についてデータを収集した。
 調査年月日は、実際に記録(観察もしくは標本採集)された時点を調査票に記入し、過
 去の記録については、さらに調査票記入著名のほかに、観察または採集者名及び標本所
 蔵場所を明記することとした。
調査方法
 本調査における種名の呼称の統一をはかるとともに既存の知見を整理するため、調査に
 先立ち、分類群毎の種名目録等を『動物分布調査のためのチェックリスト』としてとり
 まとめた。
 分布地を記録する方法としては、「標準地域メッシュ・システム」(昭48.行政管理庁
 告示第143号「統計に用いる標準地域メッシュ及び標準地域メッシュコード」)による第
 3次地域区画(「基準 地域メッシュ」または「3次メッシュ」ともいう。約1km×1km)
 を基本とした。
 なお、補助情報として従来どおりの地名による表記も採用し、メッシュコードのチェッ
 クが可能となるようにした。
 また、過去の記録等、3次メッシュの特定が不可能な場合には「2次地域区画」  (「2次メッシュ」。約10km×10kmの範囲で、2万5千分の1地形図1枚分に対応する)
 により記録した。
 各調査員には、調査実施要綱等のほか、調査票(資料2-1-2)と5万分の1メッシ
 ュ地形図(資料2-1-8)を送付し、原則として昭和60年3月31日までに調査結果を
 環境庁あて返送するよう依頼した。
 調査票は、分類群別に、2種類の様式のものを使用した。「調「査「」」の情」報整理には、
 縦長の調査票、「種」毎の情報整理には、横長の調査票というように自由に選択して使
 用できることとした。
 メッシュ地形図は、調査地(分布地)のメッシュコードを読みとるために、5万分の1
 地形図上に3次メッシュ区画線等を加刷した「1/5万メッシュ地形図」を作成し、各
 調査員より申し出のあった調査地域分を配布した。
全国集計(とりまとめ)の概要
 調査対象の種ごとに、3次メッシュ単位で情報数を集計するとともに、2次メッシュ
 (約10km×10km)単位で分布図を作成した。また、都道府県別に種別情報数を竣した。
 これらの図化及び集計結果に専門家による考察を加え、分類群別の『動植物分布調査報
 告書(全国版)』としてとりまとめた。

資料2-1-3 1/5万メッシュ地形図