2.1.2特定植物群落調査 |
●調査目的 わが国の多様な植物群落の中から、地域の代表的、典型的な群落や希少な群落などを次 の選定基準により、都道府県別に選定し、その分布や生育状況及び変化の状況を把握し ようとするもの。 ■特定植物群落選定基準 A 原生林もしくはそれに近い自然林 (特に照葉樹林についてはもれのないように注意すること) B 国内若干地域に分布するが、極めて稀な植物群落または個体群 C 比較的普通に見られるものであっても、南限、北限、隔離分布等分布限界になる産 地に見られる植物群落または個体群 D 砂丘、断崖地、塩沼地、湖沼、河川、湿地、高山、石灰岩地等の特殊な立地に特有 な植物群落または個体群で、その群落の特徴が典型的なもの (特に湿原についてはもれのないように注意すること。) E 郷土景観を代表する植物群落で、特にその群落の特徴が典型的なもの (武蔵野の雑木林、社寺林等) F 過去において人工的に植栽されたことが明らかな森林であっても、長期にわたって 伐採等の手が入っていないもの G 乱獲その他人為の影響によって、当該都道府県内で極端に少なくなるおそれのある 植物群落または個体群 Hその他、学術上重要な植物群落または個体群 ●調査実施者 査は都道府県に委託して実施した。 ●調査対象地域 全国。 ●調査実施期間 昭和59年度から61年度の8ヵ年。 なお、本調査は第2回自然環境保全基礎調査(53年度)から実施しており、第3回自然 環境保全基礎調査による調査は、本調査の2回目にあたる。 ●調査内容 前回の調査の結果(全国で3,834件の特定植物群落が選定された)を踏まえ、次の3項 目の調査を行った。 1.追加調査:前回調査で選定もれとなった群落や、その後新たに発見された群落 等で選定基準に合致するものを選定し、その生育地及び生育状況に ついて次の項目の調査を実施した。 ○植物群落の位置、面積 ○植物群落の概要 ○保護の現状 ○保護管理に関する所見 調査結果から、「特定植物群落生育地図」及び「特定植物群落調 票」を作成した。 2.追跡調査:前回調査で選定された全群落を対象として、その変化の状況を把握 するため、改変状況、原因等について次の項目の調査を実施した ○群落の消滅または一部改変等の変化状況及びその原因 ○保護の現状及び群落に対するインパクトの状況 調査結果から「特定植物群落調査票(追跡調査)」を作成するとと もに、面積に著しい変化のあった群落については「変化状況図」 作成(調査票に添付)した。 3.生育状況調査:前回調査及び今回の追加調査で選定された特定植物群落のなかから、 植物群落の類型ごとに代表的、典型的な群落を抽出し、標本的な群 落を対象として、その生育状況の現況についてのより詳細な調査を 次の項目について実施した。 ○概要調査 ・位置、面積等 ・生育環境 ・植物群落の概要(周辺の状況を含む) ・保護管理の現状 ・選定理由 ・現況写真の撮影 ○コドラート調査 ・一般植生調査 ・毎木調査 ・コドラート現況写真の撮影 調査結果から、以下の図票を作成した。 ○生育状況調査群落概要調査票 ○コドラート位置図 ○植生調査票 ○毎木調査票 ○現況写真撮影方法記録票 ●調査方法 環境庁から委託をうけた各部道府県において、植物生態学などの専門家が既存資料の収 集や現地調査により調査を実施した。 ●全国集計(とりまとめ)の概要 上記1から3の調査により得られた図票について数値データ化するとともに、選定基準 別、相観別の全国分布図等の図化や調査項目毎あるいは項目間の集計を行い、全国的な 視点から特定植物群落の状況を把握し、その結果を『特定植物群落調査報告書(全国 版)』としてとりまとめた。 |