本報告書は,環境庁の委託により財団法人日本野生生物研究センターが実施した「第2回自然環境保全基礎調査哺乳類関連情報処理作業」の一環として作成されたものである。

 昭和53年度に実施された第2回自然環境保全基礎調査哺乳類分布調査によって得られた十数万にのぼる情報は,昭和54年度に第3次地域区画(1kmメッシュ)を単位として磁気テープに入力されたが,本年度においては,この入力された情報を集計・整理すると共に,哺乳類各種の分布とその環境要因の解析を行った。国土数値情報や気象庁の積雪資料と本分布情報との重ねあわせによる解析によって,調査対象となった哺乳類八種(ニホンザル,ニホンジカ,ツキノワグマ,ヒグマ,イノシシ,キツネ,タヌキ,アナグマ)の分布の現況とそれに影響を与える環境要因について,多くの新しい知見が得られている。

 本調査事業によって得られた知見は,哺乳類の分布生態に関する科学領域に大きな貢献をすることが期待されるだけでなく,哺乳類の保護・管理のための計画策定や自然環境の保全計画策定のために基礎的資料として寄与しうると確信している。

 本事業は以下の総括委員,研究員によって遂行された。

 総括委員

  朝 日   稔  兵庫医科大学教授

  阿 部   永  北海道大学農学部助教授

  阿 部   學  農林水産省林業試験場鳥獣第一研究室長

  伊 藤 健 雄  山形大学教育学部助教授

  小 野 勇 一  九州大学理学部教授

  角 張 嘉 孝  東京大学農学部助手

  鳥 居 春 己  静岡県林業試験場技師

  花 井 正 光  文化庁記念物課文部技官

  平 田 貞 雄  弘前大学教育学部教授

  古 林 賢 恒  東京農工大学農学部助手

  古 屋 義 男  高知女子大学教授

  前 川 慎 吾  和歌山県立海南高校教諭

  丸 山 直 樹  東京農工大学農学部助手

  宮 尾 嶽 雄  愛知学院大学歯学部教授

  渡 辺 弘 之  京都大学農学部附属演習林講師

 情報の電算処理担当

  小 島 通 雅  東京大学農学部講師

 研 究 員

  岩 野 泰 三  (財)日本野生生物研究センター

  常 田 邦 彦  (財)日本野生生物研究センター

  山 瀬 一 裕  (財)日本野生生物研究センター

  石 井 信 夫  東京大学農学部研究生

 総括委員の諸氏には,本事業の出発以来,調査設計からとりまとめ,将来計画に至るまで,多くの貴重な助言と指導をいただいた。総括委員の諸氏に特に深い謝意を表します。

 小島講師には,情報の電算機処理と解析に関して,プログラミングをはじめとするすべての領域に関して指導を賜った。特に記して謝意を表します。

 また,本事業に関わる膨大な作業を担当し,いつに変らぬ熱心さで,これを遂行した研究員の諸氏にも心から謝意を表し,その労をねぎらいたい。

  昭和56年3月

財団法人日本野生生物研究センター理事長

佐 藤 大七郎

 

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