489 ハシブトガラス

 ハシボソガラスより普通大きく全身黒色で、嘴が太く額が出っ張っている点で、ハシボソガラスと識別できる。カァー・カァーと澄んだ大きな声で鳴く。市街地・海岸などあらゆる環境に生息する。習性はハシボソガラスに似るが、ハシボソガラスより性質が荒く、弱った野鳥を群で襲ったり、他の鳥の卵や雛を奪うことがある。ゴミ捨て場や漁港などを主な餌場とする。日本以外には、東南アジア・インドなどに分布し、日本は分布の北限に近い生息地である。アカマツなどの樹上に3〜5月頃営巣し、巣や卵はハシボソガラスに酷似する。繁殖期以外は群生するが、ハシボソガラスより少数でいる場合が多いようである。悪環境下でも割合平気で、東京などの市街地では本種の方が、圧倒的にハシボソガラスよりも多い。

 今回の調査では、ほぼ日本全国に分布するが、ハシボソガラスより生息しないメッシュが目立ち、ややばらつきがみられた。北海道では全般的に本州以南よりやや多いが、繁殖確認の多く集中している地方とその他の地方との間に差が大きく、東部・北部・中央部・渡島半島部で繁殖確認地域が多く、他ではCランク未満のメッシュが割合多かった。利尻島・礼文島方面でも生息・繁殖が確認された。本州ではほぼ一様な分布を示したが、Cランクメッシュがハシボソガラスに比較すると大分目立つ。特に多いのは、東北地方の日本海側から北陸地方方面、中部地方の内陸部、中国地方中央部などである。関東地方では、繁殖確認メッシュがやや集り、ハシボソガラスとほぼ互角の分布状況である。ところが、ハシボソガラスの繁殖メッシュの集中した伊勢湾沿岸地方から関西地方にかけては、本種の繁殖確認が少ない。佐渡・隠岐諸島でも生息が確認された。また、沖島・対馬・五島列島・甑島でもそれぞれ生息が確認され、沖島では繁殖も確認されている。九州以南の島嶼にはほぼ島ごとに連続して台湾まで分布している。今回の調査の結果では、西表島・石垣島・沖縄本島・沖永良部島・奄美大島・喜界島・屋久島・種子島で生息が確認された。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

227

229

1,250

1,706

構 成 比(%)

13.3

13.4

73.3

100.0

 

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