484 カ サ サ ギ

 体形は、尾が長くほぼオナガと同じであるが、全長はかなり大きく、体はカケスより大きい。ほぼ全身緑色味を帯びた金属光沢のある黒色であるが、腹部・肩・初列風切羽は白く目立ち、一見して黒と白の模様の派手な鳥である。脚・嘴は黒い。カシャ、カシャ、カシャと高い声で早口に続けて鳴く。このため佐賀県などでは、カチガラスとも呼ばれている。平野部の村落付近の農耕地などに一年中生息し、また繁殖する。ヨーロッパからアジアを経てアラスカ・カナダからアメリカまでほぼ連続する広大な生息分布を持っているが、本来日本にはいなかったとされている。一説によると、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に持ち帰られたものが定着したと言われている。北部九州の限られた地域にしか生息せず、冬期でもほとんど移動しないため、他の地域では、きわめてまれにごく少数の記録があるだけで、ほとんどその姿を見ることはできない。天然記録物に指定されている。樹上や電柱上などに小枝を集めて巣を作る。直径40〜100cmほどあるほぼ球形をなし、横に出入のための穴がある。2〜4月に小斑が散在する淡青緑色の卵を5〜8個産卵する。

 繁殖調査の結果は、オナガよりもさらに局地的な分布を示した。長崎県・佐賀県・福岡県などの九州北西部のごく限られた範囲にのみ分布し、他の地方では全く記録されていない。しかし、佐賀平野など分布の中心地ではその個体数は多く、巣などを見る機会も多いため、繁殖確認のメッシュがB・Cランクのメッシュに比較して多くなっている。カササギの分布地域は、昔からあまり変化していないと言われ、他にも十分生息可能な土地があるにもかかわらず、分布地域をほとんど広げないことは不思議である。日本だけで見ると極めて特殊な分布を示しているが、北部九州の対岸で距離的にも近い韓国では多数分布繁殖しており、朝鮮半島のカササギの分布の南端が、海を越えて九州北部まで伸びていると見ると、割合自然な分布に見える。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

22

5

3

30

構 成 比(%)

73.3

16.7

10.0

100.0

 

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