478 ム ク ド リ

 全長約240mm、ほぼ全国的に普通に観察される種である。全身ほぼ黒褐色で一見して黒っぽい鳥に見える。脚と嘴はオレンジ色で非常に目立ち、顔から頬にかけて淡色の部分があるが個体により大きく白いものからほとんど目立たないものまで変異が大きい。腰が白く特に飛翔中には顕著である。キュルル・キュルルなどとやかましく鳴く。開けた土地に生息し、農耕地や川原・芝生など地上で採餌している光景をよく見る。深い森林などにはいない。都市部の住宅地などにも普通で人間とのなじみも深い。主として樹洞で繁殖するが巣箱もよく利用する。都市部では人家の戸袋や屋根のすき間などに営巣することもまれでない。4月から7月にかけて、緑青色の美しい卵を5〜6個産卵する。秋期から冬期にかけては群をなし、しばしば数千、数万の大群となる。北海道など北部日本のものは、冬期残留するものもいるが、本州中部以南に渡るものが多いようである。日本を含む極東地方に生息繁殖し、冬期は東南アジア方面に渡る個体もいる。

 今回の調査結果では、従来通り北海道から九州までの各地で繁殖することが確認されたが、地方によりかなりの差があることが明らかとなった。主として海岸沿いなどの平野部、盆地や河川の流域など比較的平坦な地域に多く繁殖が確認され、山地では少かった。繁殖分布は全般的に中部から北部日本に片寄り、西日本方面では繁殖確認メッシュがかなり少くなっている。九州では鹿児島、大分などに繁殖確認が数メッシュある程度で非常に少く、九州北西部は平野部が多いにもかかわらず全く繁殖が認められなかった。中国・四国地方では全県で繁殖が認められたが、Aランク及びBランクはやはり少く局地的である。近畿では大阪・京都付近と伊勢湾沿岸の三重県に集中しているが、他の地方では少い。中部地方になるとA・Bランクのメッシュもかなり多くなる。太平洋・日本海沿岸地方・長野県・山梨県などで多く繁殖が認められている。関東地方では極めて繁殖が多く認められ、平野部のほとんどにAランクが集中した。関東平野におけるムクドリの繁殖個体数は非常に多いようである。東北地方ではA・Bランクが散在し、関東平野ほど多くはないが山岳部を除く各地で普通に繁殖が認められた。北海道もほぼ東北と似た状態であるが、道北から道南地方にかけてやや多く、道東方面ではやや少いようである。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

567

197

368

1,132

構 成 比(%)

50.1

17.4

32.5

100.0

 

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