476 コ ム ク ド リ

 ムクドリよりやや体が小さく、全長190mmほどである。♂は頭が灰白色、背及び翼尾は複雑な金属光沢のある暗色で頬の部分に栗色の斑紋がある。♀では♂に比べかなり地味な色彩で、頭部から下面にかけて一様な灰白色で上面は暗色である。声はムクドリに似るが音質がやや高く、ギュルギュルピリピリピリなど複雑に囀る。日本には夏鳥として渡来し、冬期はフィリッピンなどの東南アジア方面へ渡る。秋期には大群を作り日本列島を南下し、秋の渡りの時期は、他の小鳥類よりやや早いようである。渡り途中の群は、都会の公園などでも秋期しばしば見られる。春期の渡りでは、大群を見ることはほとんどない。北海道、本州の開けた平坦な土地の明るい林などで、5〜7月頃繁殖する。巣は樹洞、キツツキ類の古巣などで、巣箱も利用する。巣中には、枯草・羽毛などを敷き、緑青色の卵を4〜6個産む。♂♀協力して抱卵・給餌を行う。同じ巣穴が何年も続けて使われることが多い。昆虫類を多く食べるが、サクランボ・カキ・イチジクなどの果実も好む。

 今回の調査で本州中部地方の高原から東北・北海道の平地にかけて繁殖することが確認された。繁殖地の南限は、富士山周辺の高原で、西限は石川県の海岸沿岸の地方である。繁殖分布の南限近くでは、長野県から新潟県にかけて繁殖地が集中している。関東地方は、低地の平野部が多く、ほとんど繁殖していない。東北地方は各地に繁殖が認められ、内陸部から日本海側のみならず太平洋側の平野部でも繁殖が確認されているが、やや局地的である。北海道では、かなり多くのメッシュで繁殖が確認され、繁殖分布はほぼ平野部の分布に一致している。また北海道での本種の分布は、ムクドリの分布に非常によく似ている。中部・東北地方では本種がムクドリに対し、かなり少いが、北海道ではほとんど差は見られない。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

132

75

92

299

構 成 比(%)

44.1

25.1

30.8

100.0

 

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