474 ス   ズ   メ

 体長約150mmほどで最も普通の鳥である。頭から尾にかけて茶褐色で、背中に黒色の太い軸斑がある。腰はやや灰色を帯びている。下面は汚白色で、喉と頬に黒斑がありよく目立つ。嘴は灰黒色で太く短い。幼鳥は、体色が全体に淡く、黒色斑はほとんど目立たない。チュイッ・チュイッなどと鳴く。市街地から農耕地などの主として人家の近くに周年生息し、山岳部などには生息していない。平野部に多いが、ある程度の人家があれば、標高や緯度にかかわらず生息している。このため、かなり標高の高い地域でも観光施設などがある場所では、生息している。一年を通して同一地域で観察されるいわゆる留鳥であるが、冬期にはかなり移動する個体がいることが知られている。繁殖期には♂♀で生活し、冬期は群をなす。

 人家に営巣するものがほとんどで、屋根の間、戸袋などを利用する。まれには樹上などの自然の環境に営巣するものもある。3〜8月に、小斑の散在する灰青色の卵を5〜6個産卵する。野草の種子など主として植物質を食べるが、繁殖期には昆虫類を多く餌とする。ユーラシア大陸に広く分布するが、ヨーロッパなどイエスズメの分布している地域では、市街地などにはイエスズメが分布し、スズメは割合自然な環境に生息している。

 今回の調査では、北海道から先島諸島までの日本各地で多数の繁殖が認められた。今回の結果は、ほぼ人口の分布と似かよった繁殖分布となった。九州北部から東北地方南部にかけての人口の多い地帯にAランクが密集し、近畿地方や関東地方などでは生息していないメッシュは、ほとんどない状態である。また南西諸島を始め、全国の島嶼部にも分布繁殖している。九州東部(特に宮崎県)・四国南部・東北地方北部・北海道ではやや少いようである。本州中部地域に生息していないメッシュがある部分は、山岳地帯であることを示している。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

1,203

294

604

2,101

構 成 比(%)

57.3

14.0

28.7

100.0

 

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