473 ニュウナイスズメ

 スズメに似るが、♂と♀とで色彩が異る。♂は一見してスズメによく似るが、上面はスズメより赤味が強く、スズメに見られる頬の黒斑を欠くことが、著しい相異点である。♀は、全身オリーブ褐色で、クリーム色の眉斑と暗色の過眼線がある。体の大きさはほぼスズメと同大である。ヒー・チョ・チョなどとスズメに似た声で鳴くが、より優しく細い声である。夏期には本州の高原や北海道に生息し、秋から冬にかけては本州以南の水田・耕地などに群で渡来するが、スズメのように多い鳥ではない。繁殖地では、樹洞・キツツキ類の巣穴などを利用して営巣するため、コゲラなどが使用中の巣穴を奪うことがある。5〜7月に、巣穴に羽毛・枯草などを運び入れ、小斑の散在する灰白色・淡青色の卵を5〜7個産卵する。営巣地の環境は、ナラやカバノキなど落葉広葉樹の散在する草原などである。繁殖期には、番か家族群で生活し、昆虫類を主食としているが、秋冬には群で植物の種子を食べるため、以前はイネなどに害を与えたことがあった。アジア東部やヒマラヤなどに分布する。

 本州と北海道で繁殖が確認されたが、本州では極めて少く、繁殖あるいは繁殖期に生息が確認されたメッシュは数えるほどしかない。本州では、軽井沢などでも繁殖していたが、現在では観察されなくなり、各地で減少したと伝えられる。主として日本海側の標高の高い地方で繁殖し、平地での繁殖は見られなかった。A・Bランクは、岐阜県から山形県にかけての地方で、新潟県南部から群馬県北部にかけてと山形県にやや分布が集中している。このように本州では、かなり局地的な繁殖鳥と言えよう。北海道では繁殖確認メッシュもかなり多く、また内陸地方だけでなく海岸沿いの平野部でも多数の繁殖が認められた。しかし、全搬に道内の分布は北部と東部に片寄り、道南地方では大沼の周辺で、Aランクがある程度である。道内の他の地方では、山岳部を除いて普通に繁殖している。各地の島嶼部では、全く確認されなかった。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

53

57

79

189

構 成 比(%)

28.0

30.2

41.8

100.0

 

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