464 ギンザンマシコ

 大型のマシコ類で、♂は頭部から胸にかけて暗紅色をし、背面は灰褐色で赤色斑があり、翼には白帯がある。♀は全体に灰色を帯びた暗緑色であり、頭部はやや濃くなっている。スカンジナビア半島北部からシベリア、カムチャッカ半島、オホーツク海沿岸、モンゴル北部、樺太、千島にかけてと、北アメリカのアラスカ、カナダ、アメリカ合衆国のアリゾナ、ニューメキシコ州以北の、山地やツンドラ地帯に分布する。我国では、北海道で繁殖が確認されているほか、利尻島、本州の新潟県と石川県で記録がある。北海道では大雪山で繁殖するほか、日高山脈と利尻島で繁殖期に記録されている(石川 1976、Fujimaki et al. 1979)。大雪山では海抜1,800m以上のハイマツ帯に生息し、日高山脈でも海抜1,600mのハイマツ帯でみられている(藤尾他 1979)が、冬期には山麓部に漂行し、カラマツ、トドマツ、エゾマツなどの針葉樹林に生息する。夏期は♂♀で生活しているが、冬期には小群を形成する。産卵期は5〜6月であり、針葉樹やカンバ類のあまり高くない枝上に、小枝を用い、産座には細毛、枯草、鮮類などを敷いた椀形の巣をつくる。一腹の卵数は3〜5個で、4個のものが多く、抱卵日数は13〜14日。大雪山における繁殖例では、8月8日に海抜1,950m付近のハイマツの地上1.2mにあった巣に、孵化後7日程とみられる3雛がおり、8月14日には巣立っていたという(石川 1976)。

 この調査においては、北海道の4サブメッシュで生息が記録された。いずれも北海道中央部であって、1サブメッシュでは繁殖が確認され、他の3サブメッシュはBランク、つまり繁殖は確認できなかったものの、繁殖の可能性が示唆された。これからみると、北海道中央部においては本種は相当広い地域で繁殖していることが示唆されるが、調査地域が山岳地であって未調査地が多いことから今後の調査が待たれる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

1

3

0

4

構 成 比(%)

25.0

75.0

0.0

100.0

 

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