450 オオジュリン

 スズメよりやや大きな鳥。夏羽の♂は頭部と喉が黒色で、白い顎線が目立つ。背面は褐色で、下面は白色である。♀は頭上、頬、顎線が褐色で、眉斑と喉は黄白色である。背面は黄褐色と黒褐色とのまだらで、♂の冬羽は♀に似る。北海道には夏鳥として、他は主に冬鳥として本州、佐渡、四国、九州、伊豆諸島(八丈島)に渡来する。夏期、北海道の平地の草原、灌木林、耕地などに普通に生息し、冬期は温暖な地方の明るい水辺の葺原などに好んで生息する。繁殖期には番で生活するが、他の時期には群れをなしていることが多い。平地の草原の地上に営巣する。巣は枯草、枯茎などを使用して椀の形をつくり、内部には馬の尾毛や細い枯草などを敷く。産卵期は5月下旬から7月下旬ぐらいまでで、年に2回繁殖する。1巣の卵数は3〜6個である。卵は灰褐色の地に、褐色や黒褐色の太い条斑、小斑が散在する。♂♀とも抱卵し、雛は抱卵後2週間足らずで孵化、更に10日あまりで巣立つ。

 本種は長い間北海道でのみ繁殖するとされていたが、近年本州北部でも繁殖がみとめられている。1973年には秋田県でも繁殖が確認された。今回の調査でも、北海道と本州北部とで繁殖が確認されている。北海道では、海岸に沿った地域とそれに続く平地で繁殖する。繁殖地は十勝平野、根釧台地、サロマ湖および能取湖周辺、ベニヤ原生花園付近、サロベツ原野、羽幌周辺、石狩平野、函館の東の地域などに見られるが、これらはすべて平地で、北海道中央部などの山地では繁殖は見られない。本州で繁殖が確認されたのは青森県津軽半島と秋田県八郎潟付近である。津軽半島では十三湖南岸で繁殖が確認され、北岸でも繁殖の可能性があるとされている。このほか、福井県小浜湾周辺でCランクの記載があるが、これは渡りの途中か、あるいは何らかの理由で渡らなかった個体が観察されたもので、繁殖している可能性は少ないと思われる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

22

28

6

56

構 成 比(%)

39.3

50.0

10.7

100.0

 

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