443 シ マ ア オ ジ

 ♂は頭部が黒色で、背面の濃栗色。下面は鮮黄色である。胸は濃栗色の横帯、翼に白斑と1条の白帯がある。♀は全体に淡色で、頭部は淡黄褐色である。夏鳥として北海道の草原や湿原にふつう。礼文島、利尻島などにも夏鳥として渡来するが、本州以南では旅鳥で、本州、九州(佐賀県)、北硫黄島などを通過する。北海道には4月ごろに渡来し、10月ごろに渡去する。繁殖期には番で生活し、群生することはまれである。平地の草原や林縁の地上に営巣する。巣は草や灌木の根元に、枯草、細根を主材とし、内部に馬毛、枯草を敷く。産卵期は5月中旬から7月中旬ごろまでで、1巣の卵数は4〜5個である。卵は灰緑青色、淡褐緑色、淡灰白色などの地に、灰褐色、黒褐色の雲形や曲線形の斑が散在する。

 繁殖地図から、北海道の平地で繁殖するようすがよくわかる(地図中、南千島付近の囲みのなかにも納沙布岬で繁殖についてAランクが記されているので注意されたい)。この調査では、これまで繁殖が確認されていた礼文島、利尻島での繁殖はみとめられなかった。一方、本州での繁殖の初記録が1976年に得られている。繁殖地図には記載がないが、場所は青森県むつ市郊外である(三上ほか1977)。その概要は以下の通りである。観察期間は1976年6月はじめから7月下旬までで、この間に一番が2回抱卵している。6月22日に第1巣が確認され、成鳥が餌を運んでいるのが観察されている。ところが26日には巣は空で、1回目の育雛には失敗している。第2の巣は7月16日に発見されたもので、1回目の巣からおよそ350m離れたところにつくられている。この巣では3雛が確認されているが、24日には巣のなかは空で、再び育雛に失敗している。結局2例とも巣立ちまでは確認されていない。しかし、本州北部での繁殖記録は、本種の繁殖分布や渡りのコースを考える上で注目すべきものがある。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

28

42

3

73

構 成 比(%)

38.4

57.5

4.1

100.0

 

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