438 ホ オ ア カ

 ほぼスズメ大。頬は赤褐色で、眉斑と顎線とは淡黄褐色。頭上から頸にかけては灰色で背面は褐色である。頭頂から背面には黒色の縦斑がはいる。下面は灰白色で、夏羽では胸に黒帯がある。北海道、東北、中部高原地帯では夏鳥で、関東以南の平地、伊豆諸島(八丈島)、佐渡、四国、九州、隠岐、屋久島、種子島、奄美大島、伊江島、石垣島などに主に冬鳥として渡来する。夏期本州では山地の草原に生息し、北海道では平地の牧場や草原などに生息する。冬期は温暖な地方の草原、耕地などに移動し、越冬する。繁殖期には番で生活するが、冬期には単独でいることが多く、小群をなすこともあるが薮の中にいて目立たない。本州では草原で、北海道では畑や牧場などで営巣する。巣は地上または灌木のごく低い枝の上にあり、枯草、細茎、細根などを主材とし、内部に細根、馬毛などを敷いてつくられる。産卵期は5月から7月ごろまでである。1巣の卵数は3〜6個で、5個前後のことが多い。卵は淡青色、灰白色などの地に、赤褐色の微小斑が全面に密在するものと、赤褐色や暗褐色の条斑と小斑が散在するものとがある。

 これまで、北海道および本州の中部山地以北が本種の主な繁殖地とされている。このほかには、兵庫県鉢高原、鳥取県大山、大分県九重高原、熊本県一ノ宮町付近で繁殖が確認されており、愛媛県石鎚山山頂付近でも繁殖の可能性があるとされている。また、宮崎県霧島山麓では夏期の観察記録がある。今回の調査でも、主な繁殖地についてはこれまでの繁殖分布を裏付けるものとなっている。北海道では西南部の平地に集中して繁殖しており、中央部の山地や北東部での繁殖はあまり見られない。本州中部以北では、男鹿半島付近や仙台付近で多少高密度の繁殖が見られるが、低山帯、平地に繁殖地が散在している。本州西南部および九州では、これまでに繁殖が確認されている地域のほか、島根県の三瓶山付近で繁殖の可能性があるとされた。また、三重県ではCランクの記載があり、夏期の生息が確認されている。四国では、これまで繁殖の確認がされていなかったが、この調査では数ケ所での繁殖が確認されている。繁殖地は四国山地に限られ、石鎚山や剣山での繁殖も確認されている。石鎚山、剣山とも標高は2,000m足らずで、繁殖はこれらの山頂でも見られており、本州中部以北での繁殖が標高1,500m以下であることと比べると、かなり高いところでの繁殖である。ちなみに九州で繁殖が確認された阿蘇山付近の標高は、高岳山頂でも1,600mぐらいしかない。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

95

205

34

334

構 成 比(%)

28.4

61.4

10.2

100.0

 

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