430 キ  バ  シ  リ

 スズメ大の鳥で、背面は褐色と白色とのまだら。下面は白色である。色彩は地味で目立たない。留鳥として北海道、本州、四国、九州に周年生息するが、生息数はあまり多くない。本州以南では低山帯から亜高山帯にかけてのトウヒ、コメツガ、ヒノキなどの針葉樹林に生息し、北海道では平地にも生息する。冬期には幾分低地に移動することもある。繁殖期には番または単独で生活するが、他の時期にはシジュウカラ、ゴジュウカラ、コゲラなどと混群をなしていることが多い。樹幹を根元から梢に登ることを繰り返しながら採餌する。低山帯、亜高山帯の針葉樹林中の枯木の天然樹洞やさけ目に営巣する。巣の高さは地上1〜3mぐらいにあることが多い。巣は朽木の小片を主材とし、内部に獣毛を敷く。産卵期は3月上旬から5月下旬までで、1巣の卵数は3〜5個、卵は灰白色の地に淡褐色や淡紫褐色の微小斑が散在する。雛は抱卵後2週間ぐらいで孵化し、更に2週間ぐらいで巣立つ。

 本種は全国に生息するものの、生息数が少ないため、地図上の記録は非常に散らばっている。繁殖を確認した地域は全国で6サブメッシュしかない。北海道では本州以南におけるよりも、多少密度が高く生息することが知られており、この調査でも中央部の山地を中心に繁殖する状況が現われている。北部と東部では平地での繁殖も見られる。これまで繁殖がみとめられていたのは北海道、本州、四国で、九州での繁殖はみとめられていなかった。今回九州南部の高千穂付近ではじめて繁殖が確認されている。本種は一般に南部での繁殖は見られず、四国でも徳島で繁殖がみとめられていたにすぎなかった。この調査では徳島で繁殖の可能性があるとされたほか、高知でも同様に繁殖の可能性があるとされている。ところで、本州以南でAランクあるいはBランクとされているところはおおむね標高1,000m前後またはそれ以上となっており、かなり標高の高いところでのみ繁殖するようである。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

6

35

27

68

構 成 比(%)

8.8

51.5

39.7

100.0

 

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