429 ゴジュウカラ

 スズメより小さく尾が短かい。頭上と背面は灰青色で、黒色の過眼線が目立つ。頬から下面にかけては白色で、腹より下は淡褐色。下尾筒は栗色である。

 頭を下にして垂直に幹を降りるのが特色である。留鳥として北海道、利尻島、本州、四国、九州に周年生息する。低山帯から亜高山帯の森林限界までの落葉広葉樹林、針葉樹林、混交林に生息するが、落葉広葉樹の喬木を主とした森林にとくに多い。冬期には多少低山地に漂行するが、人里の近くまで降りることはまれである。繁殖期には番で生活するが、他の時期にはシジュウカラ、ヒガラ、コゲラなどと混群をなし、ほぼ一定の範囲を移動して餌を採る。低山帯上部、亜高山帯の林で、天然の樹洞やキツツキ類の古巣などを利用して営巣する。巣穴は地上6〜11mぐらいにあるのが普通である。巣は巣材を全く使用しないこともあり、巣穴が大きすぎる場合に泥土で適当にふさいだり、巣の底に落葉や樹皮を敷いて産座とする例も知られている。産卵期は、4月から6月ごろまでで、1巣の卵数は5〜8個である。卵は白色の地に淡紫色、赤褐色の微小斑が散在する。抱卵後2週間あまりで孵化し、更に23〜25日ぐらいで巣立つ。

 今回の調査でも、低山帯から亜高山帯にかけて繁殖する状況がよく現われている。北海道では北部、東部において平地での繁殖がみられる。本州以南の地域では、東北地方で標高600m程度で繁殖の可能性ありとされたところが数ケ所あるが、おおむね標高800m以上の地域が多いようである。九州ではAランクが見られず、B・Cランクが数ケ所ずつ見られ、しかもCランクの割合が多くなっている。これは九州での生息数が少ないことを示すものと思われる。これまで繁殖するとされていた地域のうち、利尻島においては今回生息の確認もされなかった。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

45

304

106

455

構 成 比(%)

9.9

66.8

23.3

100.0

 

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