425 コ   ガ   ラ

 頭部、喉は黒色で、頬から腹にかけては白色。背面は淡い灰褐色である。大きさはスズメよりも小さい。留鳥として北海道、本州、佐渡、四国、九州に周年生息する。北海道の生息数は多くない。標高500mぐらいから2,500mぐらいの森林限界までのダケカンバ、ブナなどの落葉広葉樹林や、トウヒ、コメツガなどの針葉樹林に生息する。冬期は低山地に漂行するものもあるが、平地までおりることはまれである。ただし、北海道では平地から亜高山帯上部まで広く分布する。繁殖期には番で生活するが、他の時期には群れで、とくにシジュウカラ、ヒガラ、ゴジュウカラ、コゲラなどと混群をなしていることが多い。森林中の枯木に穴を穿って、または天然の樹洞を利用して営巣する。巣穴は朽ちたサクラ、ハンノキ、ヌルデなどの幹の地上1〜5mぐらいの高さにあることが多い。巣は、蘚類、樹皮、落葉などを使用して椀の形をつくり、内部に獣毛を敷く。産卵期は5月から7月頃までで、1巣の卵数は5〜9個である。卵は白色の地に淡紫色、淡褐色の多くない微小斑が散在する。斑点は鈍端付近に密在することが多い。雛は抱卵後2週間足らずで孵化し、更に2週間余りで巣立つ。

 今回の調査の結果は、本種が亜高山帯およびその周辺の山地でのみ繁殖する様子が、はっきりとあらわれている。北海道では低地での繁殖も見られるが、中心はやはり大雪山の周辺の石狩山地である。とくに本州以南においては、本種の繁殖地を追うことにより、日本の主な山地、山脈を網羅することができる。本州以南の繁殖地と山地、山脈を重ねてみると以下の通りである。北から下北半島の恐山山地にほじまり、東北地方は奥羽山脈を骨格に北上山地、阿武隈山地。関東、中部地方は富士山、アルプス地方を中心とした地域。関西、中国地方は紀伊山地と中国山地。更に四国地方の四国山地と九州地方の九州山地がほぼ重なっている。本種は留鳥性が強いとされており、以上の繁殖地はおおむね固定されたものと思われる。ただ、九州における繁殖はこの調査の5年前の1975年に確認されたばかりであり、今後の繁殖情報の蓄積とともに一層繁殖地を広げる可能性を残している。今回の調査では利尻島でBランクが示されているが、これまで同島では本種の繁殖は確認されておらず、今回も繁殖確認までには至らなかったもののこの結果のもつ意味は大きい。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

58

487

108

653

構 成 比(%)

8.9

74.6

16.5

100.0

 

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