408 エゾムシクイ

 ほぼメジロと同大で、メボソムシクイより若干小さい。体色は背面が暗緑褐色で下面は淡色であるが、日本のムシクイ類の中では最も褐色味が強く、ウグイスに近い色彩である。淡色の眉斑がある他は、体に目立つ模様や線などはない。♂♀同色である。ピッ・ピッと地鳴きし、囀りはヒッツーキーヒッツーキーを繰り返し、金属的な音質でややコガラの囀りに似ている。日本には、夏鳥として渡来し繁殖する。亜高山帯下部の落葉広葉樹林に生息し、傾斜地を好み、崖のある場所に多い。センダイムシクイとメボソムシクイの生息する標高の中間に生息する場合が多いが、混生している地域も多い。昆虫類を主食としている。北海道では平地の林でも繁殖する。生息地での密度は一般に低く、個体数の多い鳥ではない。5〜7月頃、森林中の崖地のくぼみや地上近くの樹洞などの奥にコケ類などを集めて球形の巣を作り、白色無斑の卵を4〜6個産む。

 春秋には平地を通過するが、その数は多くはない。メボソムシクイに近い標高の山地に生息するが、本州では生息する山がメボソムシクイより限られている。日本などの極東地方で繁殖し、東南アジアで越冬する。

 今回の調査結果では、鳥の名の通り北海道で多くの生息メッシュが記録された。しかし繁殖が確認されたのは、道東の野付半島付近だけである。山地に生息するメッシュが多いが、東南部では海岸沿いの平野部でも、繁殖の可能性のあるメッシュがかなり分布している。釧路・根室地方・大雪から日高山脈・渡島半島などでは多くのメッシュに生息しているが、網走・石狩・留萌・空知支庁方面では少ない。利尻島でもBランクの記録がある。

 本州以南では生息するメッシュが山地帯に集まっているが、青森県などでは北海道に似て比較的標高の低い地域にも分布している。分布は割合局地的で、メボソムシクイに比べ、やや太平洋岸に片寄っている。房総半島先端近くの記録は、今後の精査を必要とする。また、本種は従来本州以北で繁殖するとされていたが、今回、四国で生息が確認された。過去にも四国では、繁殖期の記録があり、今回の調査で繁殖の可能性は、強くなった。九州でも福岡県英彦山で記録があり、四国同様、今後の調査が期待される。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

9

290

28

327

構 成 比(%)

2.8

88.7

8.6

100.0

 

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