403 オオヨシキリ

 全長約185mm。体の上面はオリーブ褐色で、淡色の眉斑がある。体の下面は淡色で、脇は赤褐色を帯びる。夏鳥として4月下旬頃より渡来し、9月頃に渡去する。湿地や湖沼のまわりのヨシ原、河川沿いのヨシ原など、平地から山地までのヨシ原に広く生息する。繁殖期にはヨシの上でギョギョシ・ギョギョシ・ケシケシケシ……等大きな声で囀る。5〜8月、主にヨシ原の茎の間に営巣するが、低木に営巣することもある。イネ科植物の枯葉や茎、穂、根などを用いて巣を作り、内部には穂や細根を敷く。淡青緑色の地に褐色や灰紫色の斑が散在する卵を4〜5個産卵する。主に昆虫類を捕食するが、カエル等の小動物も捕える。ヨシ原に非常に多い種で、小さなヨシ群落にも生息する。

 九州から北海道まで広く分布する。平地から山地まで水辺のヨシ原に生息するが、九州、四国、中国地方南部及び北海道東部ではあまり多くない。九州では、海岸沿いや山地のヨシ原に分布する。島嶼部では、対馬等北部の島で記録があった。四国では、主に海岸沿いのヨシ原に生息する。本州では河口や海岸沿いに発達したヨシ原、河川や湖沼周辺のヨシ原の他、山地のヨシ原にも生息する。大阪湾・伊勢湾一帯、関東平野一帯、長野県の内陸湿地、日本海沿岸の湿地帯、宮城県、岩手県等、ヨシ原の分布と一致する。北海道では、南部に記録が集中している他、主に平地部で記録されている。しかし、オホーツク沿岸から根室、釧路等の東部にかけての記録はほとんどない。

 本種は、全記録の中で確実な繁殖記録の割合が多い。これは、本種がヨシ原という限られた環境にのみ生息し、また独特の目立つ囀りを持つため、比較的容易にその存在や繁殖行動を認められるためと考えられる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

216

404

41

661

構 成 比(%)

32.7

61.1

6.2

100.0

 

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