383 ト ラ ツ グ ミ

 全長約295mm、ツグミ類の中では最大である。上面は、黄褐色の地に黒色の細かい三日月斑がある。喉から腹部にかけては黄白色の地に黒色の三日月斑がある。翼は褐色で、裏面には黒色の帯がある。全国の平地から低山にかけて生息する。寒冷地のものは冬期平地の雑木林などに漂行する。落葉広葉樹や雑木林などを好んで生息し、夜から朝にかけて口笛に似たヒーと聞こえる声で鳴く。4〜7月、樹の叉上に営巣する。蘚類や枯葉等で椀形の巣を作り、中に枯葉、根などを敷く。淡い青緑に淡赤褐色の斑がある卵を3〜5個産卵する。採餌は、地上でミミズを採ることが多く、その他には昆虫類や植物の実も採餌する。

 今回は徳之島から北海道にかけての全域で生息の記録があった。このうち、確実な繁殖記録は徳之島を除き、九州中部から北海道中部までである。奄美大島には、亜種オオトラツグミが生息していることが知られているが、今回の調査では同島からの記録は得られず、徳之島で繁殖の可能性ありの記録が得られている。九州での多くの記録は、山地一帯であるが、北九州市での繁殖確認の記録をはじめ、平地やかなり標高の低い地域での記録も数メッシュあった。四国では、北東部に記録が集中しており、平地から山地まで記録されている。中国地方では、中央の山地から日本海側地方で記録が多く、紀伊半島では山地部に多い。中部地方では、主に丘陵地帯から低山帯にかけて分布しており、開けた平地部や高山帯では記録されていない。東北地方では、秋田県からの記録が少ない他は、平地から山地にかけて分布している。特に岩手県では記録が多い。北海道では、平地の森林でも記録されているが、山地部一帯に分布している。他の島嶼部では、隠岐及び佐渡でBランクの記録があった。これらの島からは従来繁殖の記録がないので、今後の調査結果が待たれる。逆に繁殖の知られている伊豆諸島、屋久島や、別亜種コトラツグミの繁殖する西表島からの記録は今回得られなかった。

 本種は、繁殖環境として密林を好み、全国的に平地から山地の森林に分布している。記録数の割に繁殖確認記録が少ないのは、密林内の営巣を確認するのが困難なためと考えられる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

30

431

71

532

構 成 比(%)

5.6

81.0

13.3

100.0

 

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