371 ノ   ゴ   マ

 全長155mm。上面は灰褐色で下面は淡色。白い眉斑と顎線が目立つ。♂の喉は鮮紅色であるが、♀はふつう白色である(時に淡紅色のものがいる)。夏鳥として、北海道で繁殖する。海岸や山地などの、低木のある草地を好む。本州では春秋の渡りの際、薮の中などにいるのが見られる。6〜8月、地上のくぼみや低木の根元などに営巣する。枯草の茎や根を用いて巣を作り、青緑色の卵を3〜5個産卵する。

 繁殖期、♂は低木の上や、見通しのきく草の上、杭の上など、巣の近くの一定の場所でよく囀る。♀は、やぶ中を潜行することが多く、あまり姿を見せない。低木のあるような草地では普通に見られるが、個体数はそれほど多くはない。餌は、昆虫類の幼虫の他、植物の種子を好む。

 これまで知られている分布は、北海道のみである。今回の調査では、道南を除く北海道各地で記録されている。本種の分布は、平地部のものと山地部のものに大きく2分されるようである。平地部のものとしては、石狩平野、十勝平野、根釧台地、宗谷一帯及びオホーツク沿岸の地域である。山地部としては、大雪山を中心とし、夕張・日高山地にかけての地域である。海岸から、標高2,000メートル近い山地にまで生息することから、本種の分布は標高によるものではないことがうかがえる。平地部では、草原に分布するが、灌木の点在する草原や低木林を好むことから、このような分布のかたよりが見られると推測される。山地部におけるものは、山地のハイマツ帯や灌木の点在する草地である。北海道の山地では、大雪山一帯にこのような環境が存在する。大雪山は、なだらかな山容を持ち、森林限界上部の高山植物の草原やハイマツなどの低木林が広がる所では、本種は普通に見かけられる。

 本種はこれまで、日本では北海道でのみ繁殖すると言われてきたが、1979年の7月17日に、岩手県早池峰山で♀成鳥と雛1羽が観察されている(井田、岡部、1980)。この雛は巣立ち直後のもので、ほぼ確実に繁殖していると考えられる。本州北部の山地は概してなだらかであり、山頂付近は草地が多く、本種の繁殖が十分考えられる。今後の観察によって、さらに新たな記録が得られる可能性は大きい。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

25

62

2

89

構 成 比(%)

28.1

69.7

2.2

100.0

 

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