363 カ ワ ガ ラ ス

 ムクドリとほぼ同大かやや小さい。全身ほぼ一様に暗いこげ茶色をしているため、普通は黒い鳥に見える。脚が長く、尾が短く、ずんぐりしたミソサザイに似た独特の体型をしている。♂♀とも同色である。ビッビッ・ギッギッなどと地鳴きし、チーチー・ジョイジョイなど複雑に囀る。幼鳥は全身が褐色のまだらである。ほぼ全国の山地の渓流に生息し、単独または番で生活し、ほとんど移動しないようである。流れに沿って行動し、飛翔は速く直線的である。岩づたいに流れを移動して餌を探し、餌はカワゲラ、トビケラ、カゲロウなどの水生昆虫と、アブラハヤなどの小魚が主である。浅い水中を歩いたり、水の中を翼を使って泳いだりして餌を捕える。日本のスズメ目の鳥では、カワガラスのみが水中に完全にもぐることができる。繁殖期は2月下旬と早くから始まり、6月頃までである。巣は、谷川沿いの岩陰、多くは滝の裏側に作り、コケ類を主材料として球形をしている。そこに白色無斑の卵を4〜6個産卵する。日本の他、中国・台湾などアジア東部に分布する。

 今回の調査では、北海道から九州にわたる各地で生息が確認された。分布は、山地のある地域に集中し、ほぼ一様に全国にわたって繁殖も確認されている。北海道では、中央の大雪山系から日高山脈にかけて、生息するメッシュが集中して分布している。東側は、この地域からほぼ連続して知床半島にまで分布が伸びている。北海道西側は、分布が散在している。本州以南では、平野部を除いて普通に分布・繁殖している。房総半島や伊豆半島などでは、山地もあり渓流もあるが、生息は認められなかった。佐渡では生息が認められたが、今回の調査からでは、繁殖に関しては何ともいえない。佐渡以外の島嶼部では、全く確認されなかった。屋久島には従来繁殖の記録があるが、今回の調査でその生息すら確認されなかった。日本における南限に当たるところだけに、今後の調査に期待したい。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

161

270

285

716

構 成 比(%)

22.5

37.7

39.8

100.0

 

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