358 ア カ モ ズ

 モズと同大で、体形はモズに似るが、やや細目の体である。頭部から尾にかけての上面は一様に赤褐色で、下面は白く、腰はややクリーム色を帯びる。過眼線は黒く眉斑は白い。九州方面で繁殖するものは、シマアカモズと呼ばれる亜種で、色彩が全く異なる。頭部から背にかけて灰色で、背から尾にかけて灰色味のある褐色であるが、個体により変異が大きいので、チゴモズなどと誤認される恐れがある。モズより低い声でギチギチギチと鳴く。日本には夏鳥として渡来し、平地や高原などの明るい林に生息し、モズと混生している地域も多い。習性はモズに似るが、モズほど普通の鳥ではない。5月下旬から7月にかけ低木林の樹上などに枯草などで巣を作り、4〜6個の卵を産む。時々カッコウに托卵されることがある。性質はモズ同様荒く、雛のいる巣に近づくものには人間にさえも攻撃を加える。冬期はマレー半島などに渡る。亜種シマアカモズは、九州などの他朝鮮半島や中国東北部などで繁殖し、冬期は台湾などに渡り、八重山列島でも越冬しており、春の渡りの時期には対馬などを普通に通過する。

 今回の調査で、北海道から九州まで生息が確認された。北海道では平野部を中心に、比較的多くのメッシュで繁殖が確認されたが、分布は西側に片寄っていて、釧路・根室地方では全く生息が認められなかった。道北では北端近くまで分布しているが、利尻・礼文島では今回記録されなかった。本州では、チゴモズの分布に似て生息地が局地的である。中部、関東地方、東北地方南部に生息や繁殖を確認したメッシュが比較的集中している。佐渡からの繁殖が従来知られているが、今回の調査では記録がなかった。本州南部では従来兵庫県での繁殖が確認されていたが、今回鳥取県や山口県でも記録され、今後の一層の精査が期待される。従来、熊本県、鹿児島県で繁殖する亜種は、琉球産のものと共にシマアカモズとされており、九州産のモズ三種の繁殖については、今後も一層注意深い調査が必要と考えられる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

54

27

52

133

構 成 比(%)

40.6

20.3

39.1

100.0

 

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