357 モ       ズ

 スズメより大きくムクドリよりは小さい。♂では頭が茶色で腹部も茶色っぽい。背から尾は灰色で翼に白い紋があり、飛翔中によく目立つ。顔には黒く太い過眼線があり、白い眉斑がある。嘴は、ワシタカ類のようにかぎ状に曲がっている。♀は全体に褐色味が強く、過眼線も褐色であり、翼の白斑を欠く。腹部には網目状の斑がある。なお、色彩の変異が大きく、♂では上面がほとんど灰色で下面は白っぽく、ほとんどオオモズのように見える個体も見られる。ギチギチギチと続けて鳴き、キョン・キョンなどと地鳴きをする。秋には高鳴きと呼ばれる独特の声を出す。また、ヒバリやオオヨシキリなどの囀りを、本物と区別できないほど上手に真似をする。

 日本各地の平野・低山・高原などに生息し、北日本の個体は冬期南下するものが多いが、渡りの群を作るようなことはない。小数は北海道などでも越冬する。明るい林や林縁などを好み、深い森林には生息しない。見晴らしのよい場所にとまって、尾をまわす動作をよくする。地上の小動物を舞い降りて捕え、枝などに舞い戻って食べる。秋から冬にかけては、小動物を小枝やトゲなどに突き刺すいわゆる「はやにえ」を作る。性質は荒く、動物質を主食とし、昆虫からトカゲ、カエル、時にはスズメなどの小鳥類を捕えて食べる。3〜8月頃、樹上に枯枝などでサラ形の巣を作り、4〜6個を産卵する。また本州以北では、しばしばカッコウの托卵を受ける。日本など東北アジアに分布繁殖し、冬期はやや南の地方でも見られる。

 今回の調査の結果、ほぼ全国にわたって繁殖・生息が確認された。北海道から本州・九州の北部にかけては、ほぼ一様に分布しているが、標高の高い山地部では生息しないメッシュが多く見られた。北海道南西部・関東地方・東海から近畿地方・北部九州などは、特に繁殖確認メッシュが多く集中した。これに対し、四国南部や九州南部では、生息未確認のメッシュがやや多いようである。この他、礼文島・佐渡・隠岐・壱岐・五島列島・甑島などで生息または繁殖が確認されたが、対馬からは記録されなかった。九州以南では、従来繁殖の記録のない種子島でBランクが認められたことは、繁殖の南限の可能性があるものとして注目される。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

537

421

782

1,740

構 成 比(%)

30.9

24.2

44.9

100.0

 

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