342 キ セ キ レ イ

 上面は、頭部から背、肩羽、および翼は青味をおびた灰黒色。腰、上尾筒は黄色味が強い。尾は長めで、黒褐色。両外側の尾羽は白い。顔には白色の眉斑があるが、まれに黄色の眉斑の個体もいる。下面は、喉の部分が、繁殖期の♂では黒色。♀では通常白色だが、たまに黒色や黒斑点のある個体もいる。胸から腹、脇、下尾筒は黄色。♀ではやや淡い。嘴は黒色、脚は黄褐色。♂♀は喉、腹部以外はほぼ同色、同大。全長200mm。鳴き声は、スイスイ、スイ、ピーピーチョッ、チョッ、ツィーツィーと複雑な声で囀る。飛翔中には、チチン、チチンと鳴く。留鳥または漂鳥として、九州以北の平地から山地の、河川、渓流、湖沼、湿地、水田、村落に、普通に生息する他、市街地でも繁殖する。本州中部の北アルプス地方では、初夏にはおもに、標高1,500m以下に生息するが、盛夏には、標高2,400〜2,900mくらいの雪渓などにも普通に生息する。東京では、平地から山地の淡水の水系を中心に普通に生息し、市街地でもごく少数繁殖している。通常、♂♀で生活し、おもに水辺などの地上を歩きながら、昆虫類(ガガンボ、ハエの成・幼虫、ハムシ、ガ、カワゲラの幼虫、トンボなど)やクモなどを捕食する。その際、絶えず尾を上下に振る動作をする。営巣は、枯れ草、細根、コケ、土などを使い、人家の屋根や戸袋、人家近くの石垣や崖、木の繁み・くぼみ、石燈篭の中などに造る。産卵期は、4〜8月上旬で、緑色をおびた灰白色の地に、暗褐色の不明瞭小斑点が散在する卵を4〜6個産む。11〜14日で孵化し、その後11〜14日で巣立ちする。

 本種の繁殖分布は、北海道から九州までで、北海道では、おもに春から秋に生息し、水辺や河川の上流域にすむが、数はそれほど多くない。本州では、北部や高地では漂鳥だが、それ以外では留鳥として、平地から高い山まで、水辺を中心にごく普通に生息し、個体数も多い。各地の都市でも繁殖し、繁華街のビルの壁面の凹部や植え込みなどにも営巣する例が多い。四国では、標高200mから1,500mくらいの山地に多く、剣山周辺の渓流近くなどには特に多い。九州では、山地を中心に普通に生息する。島嶼部では、伊豆諸島の三宅島でごく少数繁殖している。佐渡では従来繁殖が記録されていないが、今回の調査では繁殖の可能性が報告された。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

490

664

393

1,547

構 成 比(%)

31.7

42.9

25.4

100.0

 

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